同じ4日、かんぽ生命保険<7181>が東証1部に直接新規上場する。東京が本社で生命保険業を営む。公開価格は2200円。同じく4日、ゆうちょ銀行<7182>が東証1部に直接新規上場する。東京が本社で銀行業を営む。公開価格は1450円。新規IPOは郵政3社の次は19日まで2週間、間があく。
海外の経済指標はアメリカでは6日の雇用統計の他、その〃前座〃の4日のADP雇用統計、2日のISM製造業景況感指数、4日のISM非製造業景況感指数も重要。10月は前座のADPと本番の雇用統計の数字が食い違って本番がネガティブサプライズになったが、11月はどうなるだろうか。
2日は中国の10月の財新の製造業購買担当者景気指数(PMI)、アメリカの9月の建設支出、10月のISM製造業景況感指数、3日はアメリカの10月の新車販売台数、9月の製造業受注、4日はアメリカの10月のADP雇用統計、9月の貿易収支、10月のISM非製造業景況感指数、5日はユーロ圏の9月の小売売上高、アメリカの7~9月期の労働生産性指数、6日はアメリカの10月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、9月の消費者信用残高、8日は中国の10月の貿易収支が、それぞれ発表される。
3日にオーストラリア、4日にタイで政策金利が発表される。4~5日にイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれる。5日に結果が発表される。8日はミャンマーの総選挙の投開票日。
アメリカ主要企業の決算は今週も多い。2日にビザ、AIG、エスティ ローダー、3日にADM、スプリント、ケロッグ、テスラ・モーターズ、UBS、4日にクアルコム、フェイスブック、5日にケイト・スペード&カンパニー、ラルフローレン、ウォルト・ディズニー、エヌビディアが発表する予定。
「結果オーライ」とは、まさにこのことだった。10月30日、午後0時22分に日銀の金融政策決定会合の結果が発表された。「時間が早すぎる」という悪い予感は的中し、金融政策は現状維持で、ETF買い入れ枠拡大のようなプチ緩和もなし。その直後、日経の速報で「政府が3兆円超の補正予算の編成を調整中」と出た。しかしアルゴリズム取引のプログラムは急には止まれないらしく、為替レートは円買いドル売りが進行した。
0時30分に始まった後場冒頭、日経平均は日銀会合の結果に反応してマイナス圏で安値を取って再開し、0時40分に18800円を割り込んで18784円まで下落した。ところが、すぐに為替は円安に反転し日経平均はV字回復&棒上げ。プラスに浮上して19000円を突破し0時55分に19026円まで上昇した。わずか15分間で242円高。その後、1時34分には19202円まで上がり、1時間足らずで418円高という急騰ぶりを演じた。
「君子は豹変す」(「易経」)。市場参加者の変わり身の早さには舌を巻く。期待が盛り上がった日銀会合で追加緩和が出ず、それをウジウジとボヤいて失望売りで株価はボロボロになるかと思えば、別の好材料に反応してサッと乗り換えて大幅高。そのサバサバとした気っぷの良さにも感心する。週間騰落は後場の冒頭時点ではマイナスだったが、結局257円高。タイミングがあまりにも良すぎるので「示し合わせて〃助っ人〃を用意したのか?」という謀略説まで飛び出したが、とにもかくにも終値で約2ヵ月ぶりの19000円台に乗せ、結果オーライのハッピーエンドだった。
日銀の追加緩和も政策なら、政府の補正予算も政策。東京市場がいかに政策に弱いか、改めて思い知らされた午後でもあった。
その10月30日の日経平均終値19083.10円のテクニカル・ポジションを確認しておくと、5日移動平均の18929円、25日移動平均の18228円よりは上で、75日移動平均の19093円、200日移動平均の19210円よりは下。75日移動平均は30日ザラ場では8月19日以来、久々に上回る時間帯があったが、終値では下回った。
日足一目均衡表の「雲」は18606~19181円。今週の雲は、上限は19181円から3日を境に18924円に少し下がり、下限は18507円から18472円、18129円、18002円、17866円と、日ごとにどんどん下がっていく。雲の厚さは6日には1000円を超え、下から上に抜けるのは大変だが、雲の上にいれば雲が頼もしい下値抵抗帯になる。前週の日経平均は30日に一時的に抜けた以外は雲の中でウロウロしたが、今週は19000円台に乗せば自然に雲の上に出る。雲の上はいつも青空で、上昇の足取りは軽くなる、か? ボリンジャーバンドは25日線が低い位置にあるため、30日終値は25日線+1σの18742円と+2σの18257円の間で、+3σは19772円。
テクニカルのオシレーター系指標のほうは、「買われすぎ」シグナルが3つ、買われすぎの基準の違いによっては4つ点灯している。それは基準の120をオーバーする騰落レシオ137.6、基準の+50をオーバーするRCI(順位相関指数)+91.6、基準の70をオーバーするストキャスティクス(9日Fast/%D)85.1と、基準が+5%ならオーバーしないが+4%ならオーバーする25日移動平均乖離率+4.5%である。それ以外の指標は、サイコロジカルラインは9勝3敗の75%でかなり高く、RSI(相対力指数)は62.2、ボリュームレシオは65.3となっている。なお、MACDは183.4でSIGNALを上抜けて買いシグナルが点灯し、DMIは33.2で+DIが-DIを上抜けて上昇トレンド入りのシグナルが点灯するなど、10月30日に何らかの変化が起きたオシレーター系指標はけっこうあり、一目均衡表の用語よりももっと広い意味でテクニカル指標の「変化日」になったようだ。
需給面のデータとしてまず東証が10月29日に発表した10月19~23日の週の投資部門別株式売買状況をチェックしておくと、外国人投資家はその前の週の267億円の売り越しから1882億円の買い越しに転じ、個人投資家は3887億円の売り越しで4週連続売り越し。信託銀行は2079億円の買い越しで、買い越しが9週間続いている。この週は「外国人+信託」の買い越しが個人の売り越しとほぼ均衡していた。東京市場の現状は外国人、個人、信託の三者が「天下三分の計」で微妙にバランスしている「需給三国志」で、このバランスが崩れた時、相場は風雲急を告げるのだろう。