森ビルは、東京23区で1986年以降に竣工した事務所延床面積1万m2以上のオフィスビルを対象に行っている需給動向に関する調査の最新結果を発表した。それによると、東京23区、特に都心3区の15年の空室率は、上期に大きな空室を抱えたオフィスビルの竣工もあり一時上昇したが、下期には、企業の業容・人員の拡大などを背景に、満室竣工する新規物件や、既存物件の空室解消進捗も期待されるため、年末には都心3区で3.8%、東京23区は4.3%に改善する見込みだという。
東京23区大規模オフィスビルの供給量は、今後5年間(2015~19年)の平均が119万m2/年となり、過去平均(103万m2/年)を上回る見込みである。特に、2019年の供給量は183万m2となり、直近の大量供給であった2012年の供給量と同水準となる。2015~19年の供給件数および総供給量について、2014年末時点の同社調査をベースに2015年8月末時点の情報を追加した結果、16件、36万m2の増加が確認された。
また、都心3区(千代田区、中央区、港区)の大規模オフィスビル供給量は、今後5年間の平均が85万m2/年となり、過去10年間の平均67万m2/年を上回る見込みであるという。都心3区への供給割合は、今後5年間で見ると71%であり、過去5年間と比べ増加する。各年で見ても、7割前後の供給割合が続く見込みであるとしている。
今後5年間の総供給量は、多い順に「丸の内・大手町エリア」(136万m2)、「日本橋・八重洲エリア」(74万m2)、「新橋・虎ノ門エリア」(42万m2)、「赤坂・六本木エリア」(33万m2)と続いており、東京CBDに集中している。今後5年間の東京CBDの供給量は299万m2となり、東京23区の総供給量(595万㎡)の50%、都心3区の総供給量(423万m2)の71%を占める。
次に、「吸収量」という概念を用いて新規需要動向を調べた。なお、吸収量とは、調査が対象とする1986年以降に竣工した全ての大規模オフィスにおける今年の新規稼働床面積(前年末の空室面積+新規供給面積-今年末の空室面積)である。
その結果、東京23区大規模オフィスビルの2014年の吸収量は139万m2であった。一方、供給量は87万m2であり、吸収量が供給量を上回った結果、2014年末の空室率は4.3%(前年末比1.9pt減)に低下した。2015年上期の吸収量は60万m2であり、2014年下期(43万m2)に比べ増加したものの、供給量が75万m2にのぼり、吸収量が供給量を下回ったため、空室率は2014年末から0.3pt増加し、4.6%となった。
2014年を振り返ると、新規に供給される物件はほぼ満室竣工あるいは高稼働での竣工であったのに加え、既存ビルの空室消化も進展したため、空室率は1年を通して大幅に低下したことが特徴的であったとしている。続く2015年上期の特徴は、年間供給量の約7割に相当する75万m2が上期に供給されたこと、そして大型空室を抱えた超大規模ビルの供給が重なったことである。既存ビルの空室消化は前半期と同程度進捗しているため、新築ビルの空室分が空室率の上昇に影響しているとしている。(編集担当:慶尾六郎)