「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス」は、2013年4月にWHO(世界保健機関)が、初めてヒトへの感染を公表したウイルス。ヒトからヒトへ感染する能力を獲得した新型ウイルスに変異し、世界的流行(パンデミック)を引き起こす危険性があるため、厚生労働省より、感染症法で第2類指定感染症に指定されている。
今回、シャープ<6753>は、ベトナム ホーチミン市パスツール研究所と共同で、容積1m3ボックスの試験において、プラズマクラスター技術が浮遊する「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス」の感染力を約47分で99%抑制することを、世界で初めて実証した。
同社は、プラズマクラスターのプラスイオン(H+(H2O)m)とマイナスイオン(O2-(H2O)n)を同時に空中へ放出することで、浮遊するウイルスなどの表面で酸化力の高いOHラジカルとなり、表面のタンパク質を分解してその働きを抑制することに着目。これまで、インフルエンザウイルスのH1N1、H3N2およびH5N1について抑制効果を実証してきた。今回、新たに型の異なるH7N9のインフルエンザウイルスについても同様の抑制効果を実証し、プラズマクラスター技術が多様な型のインフルエンザウイルスに対して有効であることが示されたという。
具体的には、容積1m3の密閉空間にプラズマクラスターイオン発生装置を設置。イオン濃度(50,000、100,000、200,000個/cm3)を発生させ、「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス」をミスト状に噴霧した。それぞれのイオン濃度条件で噴霧終了一定時間後、空間の浮遊するウイルスを回収し、その感染力(感染力価)をウイルス研究分野で一般的に用いられているTCID50法で調べた。その結果、ウイルスの感染力価はイオン照射なし(送風のみ)の場合と比較して99%抑制されることがわかった。また、イオン濃度が上昇するとウイルスが99%抑制される時間が速くなることが確認された。
プラズマクラスター技術にとは、プラスイオン(H+(H2O)m)とマイナスイオン(O2-(H2O)n)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスとマイナスが結合して酸化力の非常に高いOHラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のたんぱく質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術である。(編集担当:慶尾六郎)