10月の大口電力需要、18ヶ月連続減。過去最長

2015年11月24日 08:18

 9月から10月上旬にかけて気温が前年に比べて低めに推移し、冷房需要が減少したことなどが影響して、電力需要が低下した。電気事業連合会が20日、2015年の10月の電力需要実績(速報)を発表。それによれば、北海道電力<9509>、東北電力<9506>、東京電力<9501>、中部電力<9502>、北陸電力<9505>、関西電力<9503>、中国電力<9504>、四国電力<9507>、九州電力<9508>、沖縄電力<9511>の電力10社合計の販売電力量は、前年同月比4.0%減の612億3000万キロワット時であり、これで6ヶ月連続で前年を下回ったことがわかった。電力大手10社すべてで、マイナスとなった。

 また、工場向けの「産業用大口電力」も、自家発電設備の導入が進んでいることや、大手電力会社から新電力に切り替える企業が増加していることなどが影響し、前年同月比3.6%減の216億8600万キロワット時と、前年を下回った。こうして「産業用大口電力」が前年を下回るのは18ヶ月連続のことであり、1974~75年の第一次オイルショック、そして金融機関や不良債権問題、アジア通貨危機が発生した98~99年と並んで過去最長を記録した。

 業種別に見てみると、「繊維」「紙・パルプ」「化学」「窯業・土石」「鋼鉄」「非鉄金属」「機械」の7業種すべてが前年を下回り、特に「鋼鉄」が前年同月比8.0%減と大きく落ち込んだ。「鋼鉄」が前年を下回るのは、これで14ヶ月連続のこととなる。そのほか、「紙・パルプ」が前年同月比4.3%減、「機械」が前年同月比3.7%減、「繊維」が前年同月比3.2%減、「窯業・土石」が前年同月比2.9%減、「化学」が前年同月比2.3%減、「非鉄金属」が前年同月比1.9%減という結果であった。

 そして家庭向けの「電灯」も前年を下回り、前年同月比2.0%減の182億1000万キロワット時という結果であった。

 今回のこの結果について電気事業連合会は、国内の経済状況は総じて緩やかな回復傾向にあるものの、今後の需要動向については注視していきたいとの見方を示している。(編集担当:滝川幸平)