政府はTPP総合政策の「大綱」をまとめた。農林水産物・食品の輸出額1兆円の達成目標を前倒しするなどとしている。
まず、TPPについて政府は「21世紀のアジア・太平洋に自由で公正な『一つの経済圏』を構築する挑戦的な試みであり、世界のGDPの約4割(3100兆円)規模の経済圏をカバーした経済連携であり、人口8億人という巨大市場が創出される」としている。
そこでは「モノの関税の削減・撤廃だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業、労働、環境の規律など幅広い分野で新しいルールを構築する。この地域の成長を取り込み、アベノミクスの成長戦略の切り札となるもの」と意義付けている。
こうした中、大きな影響が懸念される農林水産業に対する政策では「平成32年の農林水産物・食品の輸出額1兆円の目標を前倒しで達成することを目指す」とし、(1)次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成(2)国際競争力のある産地イノベーションの促進(3)畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトの推進(4)米・牛肉・青果物・茶・林産物・水産物など重点品目の全てで輸出先国の関税が撤廃される中、高品質な我が国農林水産物の一層の輸出拡大、輸出阻害要因の解消、6次産業化・地産地消による地域の収益力強化等により、攻めの農林水産業を推進する(5)攻めの農林水産業への転換を促進する規制や税制の在り方を検証し、実行するなどとしている。
また、重要5品目のうち、コメについては「国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断するため、消費者により鮮度の高い備蓄米を供給する観点も踏まえ、毎年の政府備蓄米の運営を見直し(原則5年の保管期間を3年程度に短縮)、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れる」こととしている。(編集担当:森高龍二)