10月28日から11月8日まで東京ビッグサイトで開催された「第44回東京モーターショー2015」に出展した住友理工のブースでは、最適化設計により軽量化に成功した自動車用防振ゴムの製品展示をはじめ、自動車用ホースのモジュール化の取り組み事例、制遮音性能に加え、衝突時の衝撃軽減にも貢献するソフトエンジンカバー、独自の配合技術で誕生した軽量ウレタン材を採用したヘッドレストなど、自動車用品事業の製品ラインアップが並んだ。
同社の自動車用防振ゴムは、樹脂トルクロッドや樹脂アウターブッシュなど、金属を樹脂に替えることで軽量化を図った製品。すでに自動車各社が採用している製品で、来場者は手に取って、その感触と軽さを実感していた。
自動車用ホースのモジュール化の取り組みでは、開発中の樹脂フィラーネックモジュールを出品し、軽量化や耐食性、燃料低透過性、柔軟性といった特徴を紹介。ソフトエンジンカバーは軽量高剛性ウレタンフォームを使い、40%の軽量化を達成したという。またクルマが歩行者と衝突した場合でも、歩行者への衝撃を軽減する機能も持っているという。
また、従来から開発が進められている「接触・押圧・心拍検知」の計測ができる、独自開発のオールゴムの触覚センサー「スマートラバー(SR)センサー」をデモ展示した。SRセンサーは2倍に伸ばしても抵抗率がほとんど変化しない高導電性ゴム電極。ゴムの柔軟性を維持しながら、変形伸びや圧力が測定できるセンサーだ。スマートラバーの特徴である柔軟性を活かし圧力センサー、伸びセンサー、多点スイッチ、面状圧力分布センサー、面状や筒状のアクチュエーターなどを開発している。
SRセンサーは、現在まで多くの医療や介護の現場で使われているが、これを自動車に展開する計画もあるという。運転席のシートに内蔵し、圧力の分布や変化を検出することで、疲労や居眠りなどを感知して、警告や運転支援を行うシステムとして開発を進めているという。
また、今回の東京モーターショーの同社展示ブースにおいて、新素材の用途開発をテーマに取り組んできた名古屋造形大学のプロダクトデザインコースの学生の作品が展示された。プロダクトデザインコースと住友理工が産学共同プロジェクトとして「新素材:SRセンサーの用途開発」をテーマに取り組んだ成果を、ブースに設置されたデジタルサイネージで展示した。(編集担当:吉田恒)