前回の東京モーターショー2013で、モックアップを展示していた超小型モビリティが、今回の東京モーターショー2015では、ガンダムカーとして市販モデルを展示した。ショーカーとはいえ実際に走行可能で、2016年1月には、新潟と和歌山で走行を開始する。
製作したのは新潟に本社がある株式会社エクスマキナだ。東日本大震災のときに、災害救助ロボットが役に立たなかったことから、2013年 2 月に会社を設立した。ベースとなっているのは、マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長の、伊藤穰一氏のところで開発した折れ曲がるクルマ。スペインでの実験成果を引き継ぎ、『機動戦士ガンダム』のメカニックデザインを担当した、大河原邦男氏に外装デザインを依頼して完成させたもの。
コンセプトはロボットのようなクルマということで、なんと車体中央部が折れ曲がる。全長2680ミリなのが、1500ミリ程度にまで短くなるのだ。これは見た目のインパクトだけではなく、全長が短くなることで1台分の駐車スペースに2台置くことができるというメリットもある。乗員人数は2名で、乗車時はフロントウインドウを真上に上げて、車両前部から乗り込むスタイル。扱いは軽自動車となり、普通自動車免許があれば運転できる。
特徴的なのがインホイールモーターを搭載し、四輪駆動と四輪操舵を採用しているところだろう。そのため平行移動や超信地旋回が可能となり、狭いスペースでの移動も楽に行える。航続距離は100km程度走ることができるが、贅沢にも冷暖房を完備していて、それをつけると航続距離は2/3ほどになるという。充電は他のEVカー同様に急速充電に対応し、家庭用コンセントからの充電も可能だ。最高速度は安全性の問題から40~50km/hでリミッターをかける予定としている。折れ曲がった状態だと10km/hで、折れ曲がった状態での使用は駐停車時のみになる。
ビジネスモデルとしてはスマホを想定していて、車両に関してはリース展開する。車両の後ろにはデジタルサイネージとして大きなモニターを設置し、広告料を徴収することで、利用料金の負担を下げている。気になる利用料金だが、10分間で150~200円くらいを想定しているとのこと。車両販売価格は330万円だが、フランチャイズ契約のみなので、個人で購入することはできない。すでにガソリンスタンドや自動車のアフターパーツ販売店などで話が進んでいて、50台の受注があり、来年には150台の生産を見込んでいる。次のモデルでは車両コストを抑えた折れ曲がらないタイプや、オープンモデルなども考えているそうだ。
超小型モビリティは、クルマよりもコンパクトで小回りがきき、環境性能にも優れているために、国土交通省が補助の公募を実施したり、地方創生として導入・運行を検討している市町村も増えてきている。2020年のオリンピックに向けて街中でも超小型モビリティを目にする機会がさらに増えるだろう。(編集担当:鈴木博之)