MM総研は、2015年9月末のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2015年9月末時点のFTTH(光回線サービス)の加入件数は2,728.9万件で、2015年度上期(2015年4月~9月)では64万2,000件増加した(伸び率2.4%)。
高速モバイル通信の普及拡大や固定ブロードバンドの世帯普及率の高止まりに伴い、FTTHの純増幅は縮小しており成長は鈍化傾向にあるとしている。2015年2月に開始されたNTT東西の光回線サービス卸(光コラボレーションモデル、以下光コラボ)による新規需要創出効果も限定的だった。光コラボ契約数は9月末234.8万件で、FTTH市場全体に占める割合は8.6%となった。
NTTの光回線(フレッツ光および光コラボ)は、2015年9月末の東西合計の加入件数が1,903.6万件で、FTTH市場におけるシェアは合わせて69.8%。3月末から0.4ポイント減少し、7割を下回った。光コラボの9月末総契約数は234.8万件でNTT東西光回線契約数に占める割合は12.3%となった。光コラボ参入事業者は12月1日現在で200社を超えているが、累計では転用(フレッツ光からの乗り換え)が9割近くを占めており異業種等の参入による新規需要創出効果は今のところ限定的と言えるとしている。
一方、携帯キャリアをはじめとする光コラボ事業者による顧客の囲い込みが始まり、これまで1%を超えることが多かったNTTの光回線の解約率は第2四半期(7~9月)に0.83%まで一気に低下した。NTTとKDDIなど従来の競争事業者間における乗り換えは今後も減少していくと分析している。
「auひかり」等を提供するKDDIグループは、引き続き携帯電話のセット割引「auスマートバリュー」による新規獲得と解約抑止を継続。3年間の継続利用を条件に段階的に月額料金を割り引く「ずっとギガ得プラン」も奏功し、堅調にシェアが拡大している。契約数は2015年9月末グループ合計で362万5,000件(シェア13.3%)となった。
関西地域を中心に「eo光」を展開するケイ・オプティコムは、2015年9月末156.0万件と緩やかに拡大。シェアは5.7%で横ばいを維持する。新規加入で最大1年間月額料金を2,000円割り引く「スーパースタート割」などで顧客の獲得を進める。電力小売事業へも参入し、「eo電気」の名称で電力販売に乗り出すという。
マンション全戸一括加入型の光回線サービス最大手のアルテリア・ネットワークスは、2015年9月末で57万3,000件(シェア2.1%)となった。上期は任意加入型ブランドの顧客減に伴って契約数が微減となったが、全戸一括加入型サービス「UCOM光 レジデンス」では契約数を伸ばした。マンションの各住戸への構内配線に光ファイバーを採用する「マンション全戸オールギガタイプ」の訴求や賃貸物件での獲得も進め、純増をめざすとしている。(編集担当:慶尾六郎)