日本郵政、国内最大規模の自社株買いを実施

2015年12月07日 07:24

 11月3日にゆうちょ銀行<7182>、かんぽ生命保険<7181>のグループ2社同時に株式上場を行った日本郵政<6178>だが、12月2日、国内最大規模となる約7300億円相当の自社株買いを行うと発表。2日の終値1907円で約3億8300万株を政府から取得する。政府は、日本郵政の自社株買いと同数の株数の売り注文を出し、上場時の政府保有株の売り出し6930億円と合わせて、売却収入の約1兆4200億円を東日本大震災の復興資源にあてるとしている。

 日本郵政の自社株買いは東京証券取引所のルールに基づく「時間外取引」により、12月3日午前に実施。今回、日本郵政が発表した約7300億円相当の自社株買いは、2005年にNTT<9437>が政府保有株の放出分を取得する形で行った5393億円の自社株買いを上回り、一度に行う自社株買いとしては国内最大規模となる。日本郵政は、株式上場前の10月19日に、自社株を除いた発行済み株式総数の50%に当たる22億5000万株か、株式の取得総額約7300億円のいずれかを上限に、自社株買いを11月5日から16年3月末までに行うと発表しており、自社株買いにかかる費用は株式上場の時点でゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の保有株を11%ずつ売却して得た収入をあてる方針を示していた。11月4日の株式上場から約1ヶ月が経過し、値動きも落ち着きをみせたことを鑑みて、今回自社株買いを実施することを決定したとのこと。

 なお、日本郵政が11月13日に発表した上場後初となる15年4~9月期の連結決算は、売上高にあたる経常収益は前年同期比1.0%減の7兆350億円、純利益は同2.0%減の2133億円という結果であった。宅配便「ゆうパック」の取扱数量の増加などにより損益は改善したが、郵便・物流事業は引き続き赤字。16年3月期の連結業績予想は従来の予想を据え置き、純利益は前期比23.0%減の3700億円を予想している。株式上場時の初値は市場の予想を上回る滑り出しをみせたものの、成長戦略についてはまだまだ不透明な部分が多いと言える。こうしたことから、日本郵政は今回取得した自社株は消却せず、しばらくは金庫株として保有する方針。金庫株を用いたM&A(合併・買収)も含め、成長戦略の可能性を探るとしている。(編集担当:滝川幸平)