内閣府が行った「住生活に関する世論調査」によると、63%が購入するなら「新築の一戸建て」と回答したという。一方、中古のマンション・一戸建てと回答したのは6.1%、3.8%とどまった。新築一戸建てへのこだわりは今だ健在のようだ。
「日本で唯一、不満だったことは住宅」と外国人に言わしめるほど住宅に関する問題・不満が多い日本。広さ・耐震・耐久性・高い価格など、外国人のみならず日本人にとっても住宅の問題は常につきまとう。それでもやはり居心地の良い自分の住処を見つけたいと思うものだが、日本人にとっての「理想の住宅」とはどのようなものなのだろうか。
日本人の住宅に対する意識について、内閣府は2015年10月1日~11日にかけて20歳以上の男女3000人に調査を実施した。このうち、有効回収数は1736人。この調査の結果、「夢はマイホームを持つこと」という言葉通りの理想は今だ健在だということがわかった。
今回の調査ではまず、「住宅を所有したいか」との質問が設定されたが、これに対し74.9%が「所有したい」と回答した。9年前の2004年では79%だったので「住宅を所有したい」と思う人の割合は若干減ったものの、70%以上が「所有」を希望しているということになる。
年代別に見ると、40代以降の年齢から所有を希望するという回答は60%以上。一方、20~30代がそれぞれ47.7%、52.7%だ。
住宅を所有したい理由として、58.1%が「同じところに安心して住み続けたいから」、21.5%が「資産価値があるから」との回答結果が出ていることからも、40代以降の年齢から住宅を将来的な資産として捉えたり、住宅購入の必要性を実感し始める傾向があるようだ。
次に、「住宅を購入するならどのような住宅がよいと思いますか」という問いに対しては、なんと全体の63%が「新築の一戸建てがよい」と回答している。これについては20代~70代以上のすべての年代で60%以上が新築の一戸建てを希望するという回答も出ており、広い家の広い空間を理想とする日本人が多いのだろう。
前述の質問で「新築一戸建てがよい」と答えた人のその理由であるが、一番多かった理由は「間取りやデザインが自由に選べるから」で、66.5%にも及んだ。その次に多かったのは「すべてが新しくて気持ちいいから」で60.9%、続いて「人が住んでいた後には住みたくないから」が21.4%だった。
ヨーロッパではきちんと手入れされた古い家は価値があるとされているが、日本でこの価値観はなかなか見られない。住宅に対する考え、土地・国土の特徴、建築方法の違いを考えれば、価値観に違いがないことの方が少なく、特に批判されるべきものでもない。
しかし、このような日本の「できれば新しいものがよい」という住宅の価値観は時に弊害をもたらす。中古住宅市場が縮小するのである。中古住宅市場がある程度の活気を見せなければ、結果、中古住宅の有効活用ができなくなり、最終的には長い間空き家になる可能性が出る。政府もこれを問題視し、中古住宅の流通促進を図っているところだ。
古いものを手入れして大切に扱う文化が日本にはある。だが、それを個人の住宅に持ち込むことは難しいのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)