異次元の金融緩和で異次元の副作用懸念 前総理

2015年12月15日 08:06

 野田佳彦前総理は14日のブログ(かわら版)で、安倍政権の旧3本の矢について、金融緩和では「異次元の副作用をはらんでいる」など懸念や目標達成が出来ていないと指摘。新3本の矢は「絵空事」と厳しい見方をした。

 野田前総理は、まず、旧3本の矢について「第1の矢の『異次元の金融緩和』により、株は高くなり大幅な円安になり、大企業は空前の利益を出したが、円安は中小企業を苦しめ、実質賃金も下がり続け国民生活でもメリットはなかった」とし「経済の好循環が起きなかった上に、2%の物価目標も達成できていない」とした。

 また「日銀による大規模な国債買い入れの出口が心配」と指摘。「日銀は国債を買い続けることをやめられるのか。抱え込んだ国債を売却できるのか」と危惧した。

 第2の『機動的な財政政策』は「公共事業を増やすことであり、時代錯誤の的外れ。3本目の矢である成長戦略については特筆するものはなく的に届いていない」と酷評した。

 そのうえで、新3本の矢について「名目国内総生産(GDP)600兆円を2020年ごろまでに達成するという矢は道筋が見えない。2014年度の名目GDPが約488兆円ですから、名目経済成長率3%以上、実質経済成長率2%以上が続けば、計算上は届くが、バブル崩壊後、名目成長率が3%を上回ったことはない」と提示し「現在の日本の潜在成長率は0.3%程度であることを考えると、実現可能性はないと見るべき」と厳しい。

 そのうえで「米国の次期大統領指名選挙においては、デマゴーグのような言説を弄する人が人気を博している。日本も非現実的な政策で国民を幻惑する人が国のトップ。両国ともに直面する諸問題の重大さや複雑さについて正直に国民に語らなければいけないのでは」と投げかけた。

 野田前総理は「20年代半ばまでに希望出生率1.8を実現するという新しい矢も、具体策が不明。近年の合計特殊出生率は1.4台の横ばい状態。その上、先の国会で労働者派遣法が改悪され、非正規雇用が拡大する可能性が大。結婚できない、子どもを産めない若者を増やして、どうして出生率が上がるのか。やっていることがあべこべ」とも。(編集担当:森高龍二)