自動車関連製品や電化製品などをはじめ、あらゆる分野において、日本製品が世界的に高い信頼を得ているのは周知の通りだが、そもそも「信頼」とは何だろう。耐久性や品質ももちろんだが、安全性が高いことも日本製品が絶対的な信頼を得ている大きな理由ではないだろうか。
経済産業省は11月12日、「2015年度 第9回 製品安全対策優良企業表彰」において、16の企業や団体・機関に対し、表彰式を執り行った。同制度は2007年度より実施されているもので、民間企業の製品安全に対する積極的な取り組みを促進し、社会全体として製品安全の価値を定着させることを目的としている。
審査は、学識経験者、消費者団体代表等で構成する審査委員会が行い、企業の製品安全を確保するための体制を「安全な製品を製造(又は販売)するための取組」、「製品を安全に使用してもらうための取組」、「出荷後に安全上の問題が判明した際の取組(製造輸入部門)」、
「事故やリコール等が起きた際の取組(小売販売部門)」、「製品安全文化構築への取組」という視点で評価している。
第9回目の今年は、大企業製造・輸入事業者部門で、経済産業大臣賞を株式会社バンダイ<7832>が受賞した他、商務流通保安審議官賞にはパラマウントベッド株式会社<7817>及び、日立アプライアンス株式会社が受賞している。また、大企業小売販売事業者部門では、
経済産業大臣賞に株式会社イトーヨーカ堂、商務流通保安審議官賞にはパナホーム株式会社<1924>、そして優良賞(委員会賞)にはダイアナ株式会社と株式会社ダスキン<4665>が輝いた。
中でも、パナホームの受賞は、住宅業界において唯一であり、2012年度に続き2度目の受賞となることで注目されている。昨今の杭打ちデータ偽装事件などで、安全・安心に対する消費者の意識が高まる中、今回の受賞は、同社の品質管理の仕組みによる住宅製品や施工の安全確保の取り組みが広く評価されたもの。さらに、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などの新しい技術の導入に伴う新たなリスクについても、製品安全において、業界全体の安全レベルの向上をリードする取り組みが期待されている。
なお、受賞企業は、同制度のロゴマークを使って、製品安全対策優良企業であることをユーザーにアピールすることができる。このロゴマークが、製品やサービス選びの一つの指標になるのは間違いなさそうだ。
住宅だけでなく、あらゆる分野の製品において、安全であることは最大の信頼につながる。世界の市場で中国や韓国の新興企業が台頭する中、日本製品は不毛な価格競争に没入するのではなく、安全性の高い商品で信頼を保ち続けてほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)