16年の旅行市場は今年に引き続き好調 国内旅行人数は前年比0.7%増の2億9,360万人の見通し

2015年12月20日 12:10

 JTBは、2016年の旅行市場についての見通し調査の結果をまとめた。それによると、2016年の国内旅行人数は前年比0.7%増の2億9,360万人、国内旅行消費額は前年比2.6%増の10兆4,300億円と推計されるという。

 2015年は訪日外国人旅行者が大きく増加し、メディアでも話題となった。タイ人旅行者からの人気が高いあしかがフラワーパークの藤棚や長野のスノーモンキーなど、日本人がこれまであまり注目してこなかった様々な観光地がクローズアップされるにつれ、日本の魅力を再発見した人も少なくないようだ。

 また、海外でアレンジされた抹茶の専門店や南部鉄器など、海外で注目されることによって日本でも人気が高まった商品も多くみられるようになった。2016 年も引き続き訪日外国人旅行者の増加が予想されることから、海外からの注目で日本の地域の観光や文化資源が脚光を浴びることも増えるのではないかと同社では予測している。
 
 具体的なものとしては、東京ディズニーシーとユニバーサル・スタジオ・ジャパンがともに、周年記念となる2016年には、さらに注目度が高まりそうだという。また、2016年には、日本最大級となる京都鉄道博物館がオープンする。さらに、新青森と新函館を結ぶ北海道新幹線の開通、岡山には昭和30年代をテーマとした観光列車が導入される。JR だけでなく、西武鉄道なども観光列車の導入を予定しており、2016年も引き続き「鉄道」を楽しむ旅行者が多いと考えられるとしている。

 一方、高齢化に伴う健康志向の高まりもあり、マラソンなどのスポーツを楽しむ人々は増加傾向にある。また、人々の関心が細分化し、旅の形態が多様化するにつれ、個人個人の趣味を追及する目的型の旅行が浸透し、マラソン大会などへの出場を目的として地域を訪れる人々も増えている。地域でのマラソン大会は、地域ぐるみで出場者を歓迎することが多く、地域の人々との触れ合いを通じて、その土地のファンになり、毎年のように出場する人も少なくない。海外からの注目が年々増加しているのも、地域の人々との触れ合いから日本の生活や文化を感じることができる点が後押ししているのではないかとしている。このため、2016年には、初開催となる鹿児島、水戸黄門漫遊マラソンやスイーツマラソンなどテーマ型のマラソン大会にも注目されるという。

 海外旅行人数は前年比0.3%増の1,620 万人、海外旅行消費額は前年比0.3%増の4兆4,530 億円と推計した。2016年も円安基調の見込みであり、国際情勢についての不安要素はあるものの、旅行意欲は堅調の見込みであることから、1,620万人の出国者数を見込むという。

 平均消費額は、円安で現地での滞在費が上昇している一方、アジアや太平洋エリアなど短距離・中距離の国々が引き続き人気と見込まれることから、昨年並みの27万4,900 円と推計している。(編集担当:慶尾六郎)