今年のユーキャン流行語大賞に選ばれた「爆買い」。観光地や街なかで目の当たりにした人も多いだろう。訪日外国人旅行を指す観光関連用語「インバウンド」もベスト50にノミネート、実際に2015年10月までの訪日外国人数は前年比48%増というすさまじい記録を残している。
一方で、日本人の国内・海外旅行はどうだろうか。国内では娯楽の多様化による若者の「クルマ離れ」がささやかれ、海外では円安による旅行費高騰や治安の不安がついて回る。実際に海外旅行は12年をピークに減少を続けており、国内旅行も昨年までは微減傾向にあった。
しかし国内旅行は今年に入り復調。観光庁によると8月に主要旅行業者取扱額が16ヶ月ぶりに前年同月比でプラスとなり、秋以降も北陸や関西方面を筆頭に盛り上がりが続いている。
さて、そこで気になるのがこの冬休み。JTBが出した動向予測によると、年末年始(12月23日~1月3日出発)の旅行者は国内・海外合わせて3,058万8,000人(前年同期比0.2%増)で、比較可能な1996年以降で最高となる見込み。内訳は国内が前年比0.3%増の2,996万人、海外が4.3%減の62万8,000人となっている。
国内旅行先の人気トップ3は東京(デイズニーランド含む)、沖縄、大阪で昨年と同じ顔ぶれ。そして4位は昨年の11位から大幅アップの「北陸」。「範囲がアバウトだろ」というツッコミはさておき、北陸新幹線の延伸効果による観光客の増加は継続中だ。現在の終着駅である石川県の金沢をはじめ、富山県の黒部立山アルペンルートが前年比110%、福井県の一乗谷朝倉氏遺跡が前年同期比56.6%増を記録している。
海外のランキングでは昨年のハワイと入れ替わり、台湾が1位に。成田から4時間、福岡から2時間半のフライトで行けるという手軽さに加え、牛肉麺や小籠包といった食が充実していることや、比較的治安が安定しているというイメージがあることなどが理由のようだ。2位ハワイ、3位グアムと続き、こちらもトップ3は昨年と同じ顔ぶれとなった。以下シンガポール、ベトナム、香港…と「近距離アジア」が並ぶ。あまり長い連休がとれない日並びや治安の不安から、イタリアやフランスといったヨーロッパ勢は低調だ。
出発のピークは海外の長距離組が12月23日、短距離組が30日で帰国は1月2日に集中する見込み。国内の出発のピークは12月31日とみられている。(編集担当:久保田雄城)