パナソニック、米2位の冷蔵庫メーカーを買収

2015年12月27日 16:05

 大手電機メーカーのパナソニック<6752>は21日、海外にて冷蔵・冷凍設備やショーケースなどの事業を拡大すべく、アメリカの産業用冷蔵庫メーカーのハスマンを買収すると発表した。同社は来年4月をめどに、ハスマンの発行済み全株式の取得を目指す。筆頭株主でハスマンの株式61.9%を保有するファンド、CD&Rハスマンホールディングスと主要株式との間で合意が成立。買収にかかる費用は手元の資金からまかなう予定で、今期の業績予想への影響はない見込み。

 今回、パナソニックが買収を発表したハスマンは、1906年に創業されたアメリカの業界第2位の産業用冷蔵庫メーカーで、スーパーやコンビニエンスストアなどで使用される冷凍・冷蔵ショーケース事業を展開している。2014年の売上高は10億8400万ドルで、営業利益は7%となっている。

 パナソニックは18年度までに売上高10兆円達成という目標を掲げており、安定して売り上げが見込める企業向けの製品を強化する方針を固めている。そうしたなか、旧三洋電機から引き継いだ冷凍・冷蔵ショーケース事業の15年3月期の売上高は2000億円規模で、これを19年3月期に3000億円までに高めるとしていたが、今回の買収により目標達成が見込めることから、今後目標額を引き上げる予定だ。

 パナソニックの同事業は省エネ技術を強みに、国内のみならず、中国、台湾、マレーシアなどで高いシェアを誇っているが、ハスマンを買収し完全子会社化することで、アメリカや中南米などの販売ルートも確保し、さらに照明器具などの自社製品もあわせて販売することで、業績拡大をはかるとしている。

 なお、パナソニックの完全子会社となるハスマンは同社の事業部の1つとなるが、今の最高経営責任者や社長は残留する予定で、ブランドも維持される。ハスマンを同社は、航空機向け事業に次ぐ2番目の「海外に本拠を置く事業部」として重要視しており、省エネや環境対策の技術力を活かした冷蔵・冷凍ショーケースや食品流通の事業を、世界的に拡大させる考えだ。(編集担当:滝川幸平)