ウェアラブルデバイスの利用はまずは業務用から 16年は導入を検討する期間、17年には本格的利用へ

2015年12月31日 13:55

ローム「SynapSensor」

ウェアラブルデバイスの最も利用率が高いのは、「腕時計型(スマートウォッチ)」の49.8%。次いで「リストバンド型(スマートバンド)」が31.7%だった。

 ウェアラブルデバイスは、2014年は米国Googleの「Google Glass」で一気に盛り上がった。2014年、このGoogle Glassが台風の目となったと言える。そして、2015年もApple WatchやグーグルのAndroid Wear を搭載したスマートウォッチ、Fitbitに代表されるアクティビティトラッカー、JINS MEMEといったスマートグラスなど、数多くの一般消費者向けのウェアラブルデバイスが発売され、注目を集めた。MM総研では日本の市場規模は2015年度134万台、2020年度に573万台に拡大すると予想している。また、ウェアラブル端末の知名度は日本48.9%、米国94.2%としている。

 このようにその認知度も向上してきているが、市場はまだ主に価格面でのハードルが高く期待されたほどの拡大はみせていないのが現状だ。ところが、インプレスグループでIT関連出版メディア事業、及びパートナー出版事業、デジタルメディア&サービス事業を展開するインプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所によると、一方で、ウェアラブルデバイスを業務で利用する動きが、大きな注目を集めているという。

 それによると、企業にとっては、ウェアラブルデバイスを導入することで解決できる課題も多くあるからだという。このような背景から、企業では課題解決を目的としたウェアラブルデバイスの開発、導入が進んでいると同社では分析している。そして、このような動きは、様々な業種・分野に広がっており、2017年にはウェアラブルデバイスを活用した企業の業務やサービスが本格化していくと予測している。
 
 ウェアラブルデバイスの業務での活用シーンは、作業時間短縮や作業ミス軽減、安全性の向上、専門的技術による作業を狙いとした「企業の業務利用(BtoB)」と、健康促進や利用者の満足度向上を狙いとした「企業の保有する会員や従業員の利用(BtoBtoC)」の2種類にわけられるという。このような目的で、様々な業種、分野でウェアラブルデバイスが導入されており、実証実験も含めると多数の活用事例があるとしている。

 今後さらに実証実験や実証実験の結果を基にした調整が行われ、2016年は企業が実際のビジネスへの導入を検討する期間になり、2017年には多くの企業が業務においてウェアラブルデバイスを利用すると予想している。

 また、同社が一般ユーザーに実施したアンケート調査によると、ウェアラブルデバイスの利用率は、「現在利用している」が2.2%、「過去に利用していたが、ここ3カ月は利用していない」が2.1%となった。両者を合わせた利用経験者は4.3%であり、利用者はまだ限定的だという。一方で、「利用したことはないが、興味はある」が24.5%存在しており、利用経験者と合わせておおよそ3分の1のスマートフォンユーザーは興味関心を持っているという結果になった。

 また、最も利用率が高いのは、「腕時計型(スマートウォッチ)」の49.8%。次いで「リストバンド型(スマートバンド)」が31.7%だった。「GPSや心拍計付きのスポーツウォッチ」は、マラソンやランニング、登山などの用途での利用に特化された製品であり、利用者が限られることもあり11.3%にとどまっているとしている。

 このアンケートでもわかるように個人での利用は、現状ではまだ非常に少ない。ウェアラブルデバイスは16年以降、まずは業務用として企業の利用を中心に市場が拡大していくと思われる。(編集担当:慶尾六郎)