政府は、国が滑走路を管理している新千歳、釧路、稚内、函館の4空港に加えて、国所有の滑走路を市が管理している旭川、帯広の計6空港の「一括民営化」を目指す方針を固めた。
6空港をまとめて民間に委託することで運営の効率化を図り、道内で増加している外国人観光客のさらなる集客アップを目指す。また、2020年の東京五輪で急増が予想されている訪日外国人を迎え入れる態勢を強化したいとしている。
北海道経済部観光局の調べによると、15年4?6月までの外国人来道者数は前年同期と比較して51.1%の増加となった。国・地域別にみると、中国が110,200人で最も多く、以下、台湾101,600人、韓国51,200人、香港35,000人、タイ28,000人の順だ。前年同期との比較では、中国が176.9%も増加した。
観光の消費額単価にも注目したい。同局の調べで、道外客(宿泊)が77,033円なのに対し、外国人は150,761円。現在は海外からの便が新千歳に集中しているが、一括民営化によって他空港に便を振り分けることができれば、外国人観光客のさらなる誘致が可能になるかもしれない。
道内には現在13の空港がある。滑走路は国や自治体が管理しているが、空港ビルは民間だ。滑走路と空港ビルの運営を一体化すれば、空港ビルの収益を使って着陸料の引き下げも可能であり、海外路線の新規開拓も期待できる。
北海道新聞は道内10空港ビルの運営会社(離島を除く)を対象に、空港経営活性化に関するアンケートを実施。千歳と稚内の運営会社が空港ビルと滑走路、駐車場などの運営を一体的に民間に委託する「空港民営化」に前向きな姿勢であることがわかった。稚内が積極姿勢を示したことで、道内でも民営化論議が活発になると予想される。新千歳も「北海道にとって空港民営化は必要」と明記した。
一方で、慎重な会社も多い。民営化のメリットが不透明であることに加え、民営化後に現在の空港ビル会社が運営に関与できなくなるのではと危惧している。国の積極的な情報開示と説明が必要になるであろう。(編集担当:久保田雄城)