パナソニックが元テレビ工場を売却。新たに「ヤマト関西ゲートウェイターミナル」が建設され、当日配送エリアが更に拡大する見通し。再び地元に雇用と税収をもたらすと期待される一方、過剰供給を心配する声も上がっている。
大阪府茨木市には、パナソニック<6752>のテレビ事業発祥の地でもあるテレビ生産の拠点工場があった。1958年に白黒テレビ工場として稼働を開始して以降、カラーテレビ、薄型テレビを生産してきた歴史がある。「松下町1-1」という住所は、茨木市が工場の誘致に尽力した証だ。
ここは、かつては繁栄を極めたが、2012年にプラズマテレビの生産が終了。しばらくは関連施設として使われてきたが、14年には約12万平方メートルある敷地の約半分を大和ハウス工業<1925>に売却した。建物は解体され、新たに「ヤマト関西ゲートウェイターミナル」が建設される。既に稼働している関東圏の厚木ゲートウェイ、16年10月完成予定の中部圏の三河ゲートウェイ、そして関西ゲートウェイが加わり、当日配送エリアが更に拡がりそうだ。
同地は名神高速の茨木インターチェンジに近く、関西国際空港や大阪国際空港、大阪港、神戸港へのアクセスが容易であり、物流拠点として最適な立地だ。大和ハウス工業が開発し、ヤマト運輸<9064>は賃借して使用する。
さらに、プラズマテレビ用パネルを生産していた尼崎第3工場(第5工場)の建物も、不動産投資顧問会社センターポイント・ディベロップメントに売却、物流拠点に改修される。シングルランプウエーを増設し、40フィートコンテナ対応のトラックバースを設置、マルチテナント型物流施設として生まれ変わる。
工場跡地が物流施設として活用されるケースは、決して珍しくない。雪印メグミルク<2270>の「横浜チーズ工場跡地」も、物流施設の開発が決まった。通信販売やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどへの多頻度配送を行う拠点を建設するのだという。
経営再建に急ぐシャープ<6753>も、堺市に広大な遊休地があり、大和ハウスが交渉相手として浮上している。高速道路の出入り口が近く、物流拠点や工場用地に持ってこいだ。
昨今の物流は多様な機能が求められ、人員を多く必要とする。再び地元に雇用と税収をもたらすと期待される一方、過剰供給を心配する声も上がっている。(編集担当:久保田雄城)