「地元同意」の在り方など国会で求められる議論

2016年01月26日 09:58

 関西電力は福井県の高浜原発3号機を今月にも再稼働させる。滋賀県とは異常時の通報義務やなどの安全協定を取り決めたが、地元の高浜町長と福井県知事が昨年12月に相次いで再稼働に同意し、福井地裁が3号機、4号機の運転差し止めの仮処分を取り消したのを受けての再稼働で、「地元同意」の矛盾や問題が解消されないままの、再稼働になる。

 滋賀県に対しては発電所の新燃料や使用済燃料、放射性廃棄物の輸送に県内を通る場合輸送計画を事前に連絡することや環境放射能測定の調査報告を定期的に行うこと、発電所の保守点検状況を定期的に行うことなど11条からなる安全協定を交わした。

 ただ、高浜原発の再稼働については、すべての原発の再稼働にかかる「地元同意の範囲の疑問」がまったく解消されていない。

 原発再稼働に反対する社会民主党は今月27日付けの機関紙に「原発30㌔圏は京都、滋賀との境を越えて広がるのに、同意対象は立地町と福井県だけで、国は地元同意は法令上の要件でもないとうそぶく」と書き込んでいる。

 また「要援護者などの避難先候補の施設や自治体との調整はほとんど行われず、府県境をまたいだ訓練も実施されない段階で、福井県知事は、避難計画は法律上の再稼働の条件ではないと居直る。事態の経過は再稼働手続きの問題点をあらためて浮き彫りにした」と指摘している。

 また「柏崎刈羽原発について、新潟県知事は原子力規制委の新規制基準適合性審査を通ったとしても、再稼働同意の前提とはならないとの認識を示した。これは責任の所在を曖昧にする同基準と再稼働同意および判断とのもたれ合い構造を鋭く突くものだ」と提起した。地元同意の範囲など、国民の納得のいく規定づくりへ、国会で突っ込んだ議論が求められている。(編集担当:森高龍二)