原油安や暖冬の影響を受けて燃料販売や重衣料などの販売が不調だったことや、2014年4月に実施された消費税増税前の駆け込み需要の影響を引きずり、家電や自動車などの販売が低迷した結果、15年12月の小売業販売額が2ヶ月連続で前年同月を下回った。28日、経済産業省が15年12月の商業動態統計(速報)を発表。それによれば小売業販売額は前年同月比1.1%減の13兆3640億円であり、マイナス幅は同年11月(確報)と同じだった。季節調整済みの前月比は0.2%減。この結果を受けて経済産業省は、小売業の基調判断を「一部に弱さがみられるものの横ばい圏」に据え置いている。
業種別に見てみると、「各種商品小売業」「自動車小売業」「機械器具小売業」「燃料小売業」が前年同月を下回り、「衣服・身の回り品小売業」「飲食料品小売業」「医薬品・化粧品小売業」「その他小売業」が上回った。
2ヶ月連続のマイナスとなった要因として挙げられるのは、暖冬により販売が低迷したエアコンや暖房器具などや、パソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)などだ。また、原油安の影響により灯油やガソリン価格が下落したことで「燃料小売業」が大きく落ち込み、「自動車販売」も普通車の一部で新車効果が現れたものの、軽自動車や輸入車が伸び悩んだことも影響した。衣類では防寒衣類は不調だったものの、それ以外は好調に推移した。また、身の回り品もアクセサリーなどが好調に推移。化粧品も引き続き好調さをキープした。
そして百貨店とスーパーを含む大型小売店の販売額は同0.9%増の2兆924億円で、こちらは2ヶ月ぶりに前年同月を上回った。既存店ベースでは前月から横ばいだった。既存店のうち百貨店は同0.3%増、スーパーは同0.2%減であり、コンビニエンスストアの販売額は同5.1%増の9718億円であった。
同日にあわせて発表された15年通年の小売業販売額は、石油製品の下落が大きく影響し、前年比0.4%減の140兆6740億円と4年ぶりに前年を下回った。(編集担当:滝川幸平)