百貨店売上高8ヶ月ぶりマイナス、高気温でコートやジャケット不振

2015年12月22日 07:31

 日本百貨店協会が公表した11月の売上高は5418億円あまりで、8ヶ月ぶりに前年同月を下回った。百貨店業界はここ半年以上、外国人観光客や富裕層の旺盛な消費意欲に支えられ好調が続いていたが、久々のマイナスとなった。減少幅は2.7%で、客足、売上ともにふるわない店舗が多かった。入店客数は「増加した」が19店、「変化なし」が32店だった一方、「減少した」が86店と多数を占めている。

 11月は土曜日が前年より1日減った上、西日本では曇りや雨の日が多かった。西日本の日照時間は統計開始以降、最も少なかった。全国的にみても中旬以降、記録的な高温が続いたことから、コートやジャケットの動きが鈍かったようだ。売上の約3割を占める「衣料品」はマイナス8.5%に終わった。中でも紳士服は-9.2%、婦人服も-9%と、子供服(-5.5%)と比べ減少幅が目立つ。

 前月まで7ヶ月連続で前年を確保していた、カバン・財布・ベルトなど「身のまわり品」が0.8%のマイナスに転じたことも、下ぶれの要因となった。昨年10月から免税対象となった「化粧品」が+11.1%、高級品である「美術・宝飾・貴金属」が+11.3%など、8ヶ月連続で2ケタ増を記録する一方、生鮮食品が-4.8%、惣菜が-1.9%など、いまひとつだった。

 地区別でみても、東京(+0.2%)、京都(+0.6%)の2地区を除く全国で前年実績を下回った。富裕層の多い都市部では好調が続いていたが、11月は横浜と名古屋、神戸がそれぞれ-3.7%、広島が-3.8%、仙台が-3.3%など、ふるわない。

 都市部の店舗が恩恵を受けやすいインバウンド消費は、引き続き好調だ。購買客数は72.4%増(約21万人)、売上高も66.5%増(約156億円)と、2013年2月から34ヶ月連続のプラス。品目別では、ブランドバッグなど高級品だけでなく「消耗品」のシェアも高まり、昨年10月に免税制度が改正されて以降、最高となる22.7%を記録した。
 
 気温の高さで不調だった11月だが、12月も引き続き気温が高めに推移しており、冬物商材が苦戦している。東京では12月15日現在、前年同月比マイナス約1%で推移。今後の冷え込みと歳末商戦の追い上げに期待がかかる。(編集担当:北条かや)