再建向け大きく揺れるシャープ 1次仕入先は製造業が655社で最多

2016年01月31日 19:24

 シャープの動向に注目が集まっている。2015年3月期に主力の液晶パネルの中国市場での販売低下や、太陽電池やテレビの不振から2,223億円の大幅赤字。さらに2015年9月中間期(4-9月期)には836億円の赤字を計上し、一気に再建に向けた動きが慌ただしくなっている。

 シャープグループの動向が影響するとみられる1次仕入先は1,680社あった。業績不振が表面化した前回調査時(2012年8月17日、2,031社)より351社減少している。ただ、総従業員数は1次仕入先で48万8,095人、2次仕入先は354万9,324人に達し、未だ雇用面での影響はいまだに大きい。

 また、1,680社のうち、資本金5,000万円未満は1,058社(構成比62.9%)、従業員数50人未満は1,017社(同60.5%)といずれも6割を超え、シャープグループの取引は中小企業を中心に展開していることがわかった。

 そこで、東京商工リサーチは、シャープグループの仕入先、販売先を1次(直接取引)および2次(間接取引先)に分け、インターネット企業情報サービス「tsr-van2」の企業相関図を活用し業種や地区、規模などを集計、分析した。

 それによると、シャープグループの1次仕入先は1,680社。外注先が多い製造業が655社(構成比38.9%)を占めて最多だったという。以下、卸売業352社(同20.9%)、情報通信業239社(同14.2%)、サービス業他234社(同13.9%)の順となった。一方、1次販売先は4,030社だった。家電販売などの小売業が2,050社(同50.8%)と半数を占め、次いで卸売業が935社(同23.2%)だった。

 業種別では、システム開発などの受託開発ソフトウェア業が151社で最多。以下、電気機械器具卸売業(128社)、その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業(49社)、その他の産業機械器具卸売業(42社)、一般貨物自動車運送業(36社)と続く。

 また、資本金別では、「1千万円以上5千万円未満」が876社(構成比52.1%)と最も多かった。次いで、「1億円以上」が387社(同23.0%)、「5千万円以上1億円未満」が235社(同13.9%)と続く。一方、1次販売先(4,030社)では、最も多いのが「1千万円以上5千万円未満」で1,866社(構成比46.3%)。以下、「1百万円以上5百万円未満」が735社(同18.2%)、「5百万円以上1千万円未満」が315社(同7.8%)の順だった。
 
 シャープグループの取引先の多くは中小企業が占めている。生産拠点のある地域では、取引先の従業員まで多くの雇用を創出しており、同社の動向次第では地域経済や雇用に大きな影響を与えることも懸念されるという。

 シャープの経営再建は、産業革新機構が主導する主力行の金融支援、鴻海精密工業(台湾)の出資提案などに絞られ、最終局面を迎えつつある。ただ、今回の調査で取引先の中小企業で多くの雇用を創出していることが明らかになり、再建のイニシアチブをどこが握るにしても液晶技術の海外流出の是非だけでなく、雇用や地域経済にも目を向けた最大限の配慮が必要だとしている。(編集担当:慶尾六郎)