電力小売り戦争? 東京ガスが価格を1カ月で再設定

2016年02月03日 08:42

 電力小売り自由化に向けた業者の動きが活発化してきた。参入する東京ガスは1日、家庭向け電力販売の料金体系を、昨年12月の発表からわずか1カ月で改訂した。東ガスの後に料金体系を発表した各社のほうが割安なプランを提示したため、それをさらに上回る“お得感”を出した。

 今回は30~60アンペアすべての月額基本料金を前回発表より約7%引き下げる(例・40アンペアで1,209円60銭から1,123円に20銭)ほか、月間の使用量が140キロ・ワット時を超えた場合の単価も引き下げる。これらにより、ガスとのセット割引を合わせて3人世帯の戸建て住宅(月392キロ・ワット時使用)で、東電の現在の料金よりも1年で約8,500円安くなるという。ちなみに1カ月前のプランでは同一条件で年間約4,800円お得としていたので、ずいぶんな“勉強”だ。

 現在、経済産業省に登録されている「新電力」といわれる小売電気事業者は148件。さらに120件が審査中という。大手ではコンビニエンスストアや携帯電話会社、鉄道会社などが参入し、それぞれの専門分野とセットで売りだそうという動きが強まり、価格面の設定も競争にさらされている。

 経済産業省は29日、電気の利用者保護のために小売電気事業者による適切な情報提供の方法について定めた「電力の小売営業に関する指針」を公表した。そこでは、「利用者に応じて様々なメニューが設定されることが想定される。できる限り、利用者に分かりやすいメニューを作成することが望ましい」としながらも、「自由な商品開発の妨げになると考えられるので、セット割引等の電気料金への配分金額については明示する必要まではない」とも記されている。

 次々に発表される各社のプランはどれも魅力的に見えるが、セットで提示されることがほとんどで、条件設定とお得感が分かりにくいのも事実。ある大手調査会社の担当者は「結局は付帯条件よりも電力の価格で選ばれて行くことになるのでは」と話している。各社のパンフレットを並べて評価する利用者は少ないだろうからこそ、事業者側にきちんと説明してほしい。(編集担当:城西泰)