「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」のヒットにより、急速な成長を遂げたガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>だが、その2015年12月期の決算は「パズドラ」の配信開始以来、初めて減収減益となった。スマートフォン(多機能携帯電話)向けゲーム市場をけん引する「パズドラ」のガンホーが、こうして減収減益となったことを受けて、スマートフォン向けゲーム市場に転換期が訪れようとしているのではないかという見方も生まれている。
ガンホーの「パズドラ」は、先月26日に国内累計4000万ダウンロードを達成し、これはスマートフォン2台に1台がダウンロードした計算になる。しかし、その一方で「パズドラ」の課金収入源が深刻化し、結果、同社の15年12月期の売上高は前期比10.8%減の1543億円、営業利益は同3.2%減の724億円、最終利益は同30.0%減の434億円と減収減益であった。
なお、16年12月期の業績予想については、「短期的な事業環境の変化が激しい」として未開示であった。
そして同日には任天堂<7974>も15年第3四半期決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比3.9%減の4256億円であり、これで7年連続の減収となった。ニンテンドー3DSのソフト販売が低迷するなど、年末商戦が振るわなかったことが影響したものとみられる。本業のもうけを示す営業利益は同34.4%増の424億円であり、これで2年連続の黒字。利益率の高いインターネット経由でのソフト販売が増加したことや、広告宣伝費を抑制などが影響した。最終利益は同31.9%減の405億円。前年同期にあった外貨建て資産の評価益が大幅に減少したことが影響した。そして16年3月期の業績予想については、そのまま据え置いた。
ガンホーは「パズドラ」のヒットにより、13年には一時、時価総額が任天堂を上回るまでになった。しかし、そうした勢いにもブレーキがかかり始め、今回減収減益となった。そして任天堂も今回で7年連続の減収と、復活の糸口をつかめずにいる。スマートフォン向けゲームと家庭用ゲームの両雄がこうした状況にある今の状態は、ゲーム市場にとって消していい状態とは言えないだろう。16年、スマートフォン向けゲームだけでなくゲーム市場全体に転換期が訪れる可能性もある。(編集担当:滝川幸平)