高齢者は歩きスマホに注意! スマホ操作と歩行への注意は左右の脳で別々に処理

2016年02月05日 12:34

 近年、歩きスマホ中の事故が社会的な問題となっている。しかし、歩きスマホと脳活動の関係性や脳活動が歩きスマホ動作に与える影響は全くわかっていなかった。今回、東北大学病院肢体不自由リハビリテーション科の竹内直行院内講師らのグループは、歩きスマホ中の左右の脳活動はスマホ操作と歩行への注意に別々に関与していることを報告した。

 それによると、若い人では、左の前頭部が活性化するとスマホ操作を、右の前頭部が活性化すると歩行を、それぞれ上手に行えることが明らかになったという。一方、高齢者では歩きスマホ中に前頭部が活性化しても、どちらも上手に行えないことが分かった。

 研究は、微弱な光で安全に脳活動を評価できる光トポグラフィ装置注*を用いて歩きスマホ中の前頭部の脳活動を調べ、スマホ操作および歩行変化との関係性を調べた。スマホ操作には数字を順番に押すタッチゲームを使用し、若い健康な方と、高齢な健康な方を対象として研究を行った。

 その結果、歩きスマホ中に若い人と高齢者ともに前頭部が活性化する傾向を認めたという。若い人は左の前頭部が活性化する人ほど歩行中のスマホ操作を上手に行うことができ、また、右の前頭部が活性化する人ほど歩きスマホ中に安全な歩行を選択する傾向にあった。一方、高齢者は歩きスマホ中に前頭部が活性化しても、歩きスマホ操作は上手に行えず、安全な歩行にもつながらなかった。

 同グループは、この研究が、脳活動利用した歩きスマホ中の転倒予防の機器開発、歩きスマホ時に脳が活性化することを応用した新たな高齢者へのリハビリテーション訓練手法開発の発展につながると考えているとしている。なお、研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われた。(編集担当:慶尾六郎)