内閣府が発表した2015年12月の景気動向指数(10年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月より0.7ポイント低下して111.2となり、2カ月連続で悪化した。内閣府は基調判断を7カ月連続で据え置おいて「足踏みを示している」のままとした。
景気の「足踏み」はほかの調査にも表れている。厚生労働省が発表した2015年の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年から0.9%減少した。マイナスとなるのは4年連続。アベノミクスでデフレを脱却し、物価は上がったかもしれないが、賃金の上昇はそれに追いついていないことがわかった。
同調査によると、平均月間現金給与総額は、前年比0.1%増の31万3,856円だった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は0.2%増の25万9,298円、所定内給与は0.3%増の23万9,712円、所定外給与は0.4%増の1万9,586円、特別に支払われた給与は0.8%減の5万4,558円だった。
労働時間は減っている。平均月間総実労働時間は、前年比0.3%減の144.5時間だった。総実労働時間のうち所定内労働時間は0.3%減の133.5時間、所定外労働時間は1.0%減の11.0時間だったが、製造業に限ると、所定外労働時間は、0.4%増の16.0時間となった。また、月間の労働時間数を12 倍して年換算にすると、総実労働時間は前年より7時間少ない1,734時間、所定内労働時間は7時間少ない1,602時間となった。総実労働時間を就業形態別にみると、一般労働者は0.1%増の168.8時間で、パートタイム従業者は1.0%減の89.0時間だった。
雇用形態では、常用雇用は前年比2.1%増となった。このうち、一般労働者は1.2%増となり、パートタイム従業者は4.2%増だった。
自民党のある幹部は「株価が上がり、企業収益も上がり、求人倍率も上がっているのだからいいではないか」とテレビの討論番組で発言していたが、株価が上がっても、企業収益が上がっても、庶民の生活は楽にならないということに安倍首相は気付かないのだろうか。(編集担当:城西泰)