日経平均株価が続落しているが、野田佳彦前総理は18日、この続落で「年金積立金の目減り。たった半月で約6兆円もの年金資産が失われた恐れがある」と指摘し「株高がずっと続けば、何も問題はないが、株価は上がる時もあれば下がる時もある。バブルが膨らむこともあれば、それが弾けることもある。国民の虎の子の財産を大きなリスクを伴う博打に賭けていいのでしょうか」と年金資金の株式運用の在り方に慎重さを求めた。
野田前総理は「日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金約130兆円の管理・運用は厚生労働省所管の独立行政法人GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が行っている。従来は運用構成割合の60%を日本国債等の国内債が占めるなど、ロー・リスク、ロー・リターンの安定運用を心掛けていた」としたうえで「2014年11月、安倍内閣はアベノミクスの成長戦略の一環として、GPIFの資産運用方針を見直し、株式比率を50%(国内株式25%、外国株式25%)へと高め、ハイ・リスク、ハイ・リターン型へと劇的に転換した」とブログで紹介。
また「昨年7月から9月にかけて約7.9兆円もの運用損が発生した。これは4半期ごとの運用では過去最大規模の損だった。安倍政権は短期の売り買いの結果で一喜一憂せず、長期的に判断すべきだと抗弁しているが、今年はもっと大損しそうな気がしてならない。総理のポケットマネーなら別に構いませんが、国民の大切な老後の生活資金。慎重に安定資産で運用すべき」と株式市場への過剰な投資をけん制した。
また、野田前総理は「株安が続けばGPIFは年金資金を使って買いを入れる。結果的にGPIFは株式市場の安定化装置的な役割を果たすことになる。安倍政権の内閣支持率は株価と連動しているといわれており、年金資金の株式運用は安倍政権を下支えする巧妙な手段でもある」と年金資金運用が政権支持低下を防ぐことにも使われているような格好になってしまっていると提起した。(編集担当:森高龍二)