総合スーパー低迷には、ネット通販の普及や有力専門店が郊外に拡大していることが背景にある。構造改革で活性化できるのか、それとも撤退やむなしか。改革を選んだイオンと撤退を選んでいるセブン&アイやユニー、その結末は果たして…。
イオン<8267>が先日発表した2015年3~11月期の連結業績で、営業収益が過去最高、営業、経常利益が大幅増となった。売上高に当たる営業収益は前年同期比19%増の6兆360億円、営業利益は64%増の808億円。総合スーパーの赤字を、食品スーパーやドラッグストア事業、金融、不動産事業が補ったかたちだ。
総合スーパー業界は、衣料品の苦戦などで厳しい業況にあるとされてきた。大幅赤字が続くセブン&アイ・ホールディングス<3382>のイトーヨーカ堂が、40店の大量閉鎖を昨秋に発表。今年9月にファミリーマート<8028>との経営統合を予定しているユニー<8270>も数十店規模の店舗閉鎖を検討している。
一方、イオンは店舗閉鎖なしでこの難局を乗り切ろうとしている。「閉店よりも大変なことをやっている」とイオンリテールの岡崎双一社長が語る改革とは「脱総合化」だ。全国各地の店舗を着々と改装、「イオンスタイル」という名称で再オープンさせている。改装は地域の客層や競合状況に応じて実施され、関東では東京都の「御嶽山駅前」、神奈川県の「湘南茅ヶ崎」、千葉県の「幕張新都心」などがある。
一時期普及したセルフサービス型ではなく、接客を強化して購買意欲を高めていくスタイルをとっている。店員の人数を増やして「セレクトストアの集合体」のようなかたちを目指しているという。
しかし、岡崎氏が「第3四半期は芳しくなかった」と認めるとおり、改革の成果が出るのはまだ先になりそうだ。同発表では、法人税負担の増加や減損損失の計上などが影響して最終損益は174億円の赤字(前年同期は293億円の黒字)。16年2月期の業績予想も据え置き、営業収益が前期比13%増の8兆円、営業利益が24%増の1750億円。それでも純利益は1%増の425億円を見込んでいる。
若生信弥・執行役財務担当も「もっとも貢献したのは、上期同様に(ダイエーやマックスバリュなどの)食品スーパー・ディスカウント事業」と、本業だった総合スーパー事業が厳しい状況であることに変わりはなかったとの認識を示している。衣料品や化粧品、家具や日用品の売り上げ回復がなければ、全体の数字はなかなか上がってこないだろう。岡崎代表は「今(客が)戻っているので、改革は間違っていないと思っている」と手応えを見せている。次の決算でその改革の成果が表れてくるのか、注目である。(編集担当:久保田雄城)