うつ病は大人だけがかかるものではない。厚生労働省が発表した「平成26年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、10?14歳の主な死因は悪性新生物及び自殺(いずれも約20%)、15?19歳は自殺及び不慮の事故(約30%)とある。子どものうつ病は「思春期に見られる特有の憂うつな精神状態」と見逃されがちで、気づいた時には悪化しているケースも珍しくないという。
うつ病と診断された子ども達は、いじめ、受験、不登校、両親の離婚、家庭環境など、さまざまなストレスに悩まされている。小学生くらいの年齢だと、憂うつ気分や億劫な気持ち、何をしても楽しくないといった辛さや苦しさを大人のようにうまく言葉で伝えられない。
実際にこの年代の子どもは、うつらしい症状があまり出ず、不眠などの睡眠異常、食欲の低下、体重の減少など、身体症状として現れるケースが多いという。「お腹が痛い」「頭が痛い」など体の不調だけを訴えるのは、自分に起こっている異変を具体的に説明できないからだと指摘する医師もいる。
小学校高学年から中学生くらいの思春期になると、疲れやすい、集中力の低下、元気がない、無気力といった症状が見られたり、一見おとなしい子どもが家庭で暴力を振るうケースもある。兆候なく突然自殺する子どももいるという。
最悪の結末を迎える前に、早期に治療を受けることが大切である。放置する時間が長ければ長いほど症状が悪化し、友人や家族など周囲との関係を良好に保てず、八方塞がりになってしまう。大切な時期を有意義に過ごすためにも、周囲の大人達が異変に気付いてあげたいところだ。
「子どものうつ病の増加」については、実際に子どものうつ病が増えていると感じている医師もいるが、うつ病だと診断されるケースが以前と比べて増えただけだという指摘もある。これは大人のうつ病にも当てはまる話だ。だが、毎年多くの人たちが自ら「死」を選んでいるのは事実であり、数の問題ではない。(編集担当:久保田雄城)