増え続けるアルコール依存症。消費量が減っているのに、なぜ?

2016年01月30日 17:43

厚生労働省の研究班が2013年に行った、全国4000人余りを対象にした飲酒習慣などの調査によると、アルコール依存症の患者数は推計で109万人となり、10年前と比べ29万人も増加していることが分かった。推計でも100万人を超えたのは初めてという。特筆すべきは女性患者の増加で、推計で14万人。同じく10年前のデータと比較すると、およそ2倍近くに増えているという。一方、国内の年間アルコール消費量は、この10年間でおよそ8%減少しており、現在も減少傾向が続いている。

アルコール依存症の症状は、非常に強く、厄介だと言われている。本来、飲酒してはならないような状況でも強い飲酒欲求を感じたり、長時間に渡って多量に飲んでしまったりすることが頻繁だと要注意だ。典型的なコントロール障害に陥っている可能性が高い。断酒すると、手のふるえや発汗、酷くなると幻聴や幻覚、けいれん発作などの禁断症状を起こすようになってしまう。また、アルコールを日常的に摂取することで、肝機能障害をはじめとする様々な身体障害や、うつ病、不眠症などの精神障害を合併してしまう。しかし、多くのケースでは患者自身にアルコール依存の自覚が乏しいため、たとえ医療機関を訪れても、専門の医療機関でない限り、合併症状の治療だけになることが多い。そうなると、アルコール依存症状を抱えたまま、身体だけが再び飲める状態になってしまうので、深みにはまってしまうことにもなりかねない。

 アルコール依存症を予防するためには、まずは普段からの自己管理が大切だ。その一つの方法として、休肝日がある。飲酒後、たとえ酔いの自覚はなくとも、肝臓は黙々とアルコールを分解し続けている。個人差はあるものの、例えばビール中瓶二本分のアルコールを分解するのには6?7時間を要するといわれている。つまり、酒を飲んだ後は、就寝中も肝臓は働き続けているのだ。これを毎日繰り返していたら、何らかの障害が現れてもおかしくない。また、休肝日を作ることは自分自身でアルコールの摂取をコントロールしているという自覚が生まれるので、依存症になりにくいといわれている。週に2日は休肝日をつくりたいものだ。

 また、沈黙の臓器といわれる肝臓は、一旦障害が現れると重症になることが多いため、普段からいたわってやることも大切だ。

 例えば、しじみに含まれているオルニチンの摂取は肝機能の改善の効果があるといわれている。オルニチン研究会が行った試験によると、オルニチンを摂取して3週間後に採血したところ、ほとんどの被験者において肝臓の数値が下がったという結果が報告されている。また、アルコール性脂肪肝炎についても、動物実験の段階ながら進行の抑制効果が確認されているという。

 ところが、オルニチンが最も多く含まれているといわれる、しじみですら100g中に約15㎎程度しか含まれていない。1日の摂取目安が約400㎎~1000㎎といわれているので、食事だけで純粋に賄うのは無理がある。そこで近年、重宝されているのがサプリメントだ。サプリメントならば毎日1粒~2粒ほど飲むだけで必要な量のオルニチンを手軽に摂取する事ができる。しかし、純粋なオルニチンのサプリメントは少なく、含有量も1日の必要量に足らなかったり、中には含有量が明記されていなかったりするものも多い。おすすめは、協和発酵バイオの「オルニチン」で、1日6粒目安でとるだけで1日の摂取量をクリアできる。

 また、ここ数年で注目されているのがミツバチ由来の「プロポリス」だ。プロポリスはミツバチが植物の新芽や樹脂からつくりだすモノで、優れた抗菌・殺菌作用があることから、天然の抗生物質とも言われている。株式会社山田養蜂場と近畿大学工学部・講師の小川智弘氏らとの共同研究にでは、脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する予防効果の可能性があることが分かっている。肝機能改善のサプリメントとしても一躍注目されるようになってきたのだ。

 サプリメントはあくまで「栄養補助食品」。日々の食生活で不足がちな栄養分を、補助する性質のものだ。サプリメントを上手く活用し、また、休肝日や日ごろからの自覚とケアを心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)