7日に、サントリーホールディングス、キリンホールディングス<2503>、アサヒグループホールディングス<2502>、サッポロホールディングス<2501>のビール大手4社の2015年6月中間連結決算が出揃った。それによれば、4社ともに「ビール以外」のウイスキーやチューハイ、カクテルなどの売り上げが全体をけん引。国内で縮小が続くビール市場の現状が浮き彫りとなった。4社ともに売上高は増収、純利益はサントリーホールディングス以外の3社が増益となった。
サントリーホールディングスの6月中間連結決算によれば、売上高は前年同期比11.5%アップの1兆2363億円、純利益は前年同期比9.7%ダウンの155億円。14年5月にバーボンウイスキー「ジムビーム」で知られる米ビーム社を買収したことにより、海外の売上高が増加。さらに国内でもウイスキーなどを扱う子会社サントリースピリッツも好調に業績を伸ばした。ただし米ビーム社の買収に伴う経費が影響して、純利益は大手4社で唯一前年同期を下回った。
キリンホールディングスの売上高は、前年同期比1.3%アップの1兆702億円、純利益は前年同期の約2.3倍の331億円であった。同社の主力ブランドである「一番搾り」やチューハイの販売が堅調に推移したことにより、業績を拡大させた。またがん治療薬の販売が増加したことも販売拡大に寄与した。
アサヒグループホールディングスの売上高は、前年同期比5.6%アップの8568億円、純利益は前年同期の約2倍の394億円であった。傘下のニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏をモデルとしたNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」の効果が継続し、ウイスキー「竹鶴」の販売量が前年同期の3倍に増加したこと、また3月に買収したワインの輸入・販売会社エノテカも貢献し、売上高、最終利益ともに過去最高を更新した。
サッポロホールディングスの売上高は、前年同期比2.5%アップの2458億円、純利益は前年同期の109億円の赤字から11億円の黒字に転じた。しかし「第3のビール」として発売した「サッポロ 極ZERO(ゴクゼロ)」が国税庁から指摘を受け、税率の高い発泡酒に切り替えた影響により、営業利益は12億円の赤字。12年以来の営業赤字となった。
若者を中心に「ビール離れ」が進行しており、ビール類の年間出荷量は10年連続で減少。大手4社は「ビール以外」の商品でも強みを持つことで、今回業績を伸ばすことに成功した。今後もこうした「非ビール」の強化傾向は続くものと思われる。(編集担当:滝川幸平)