金融とITの融合「ブロックチェーン技術」とは みずほFG、マイクロソフト、IBMなどが実証実験スタート

2016年02月21日 19:42

 ブロックチェーン技術とは、信頼できる管理者が不在でも、参加者の合意形成ができる仕組みにより、取引が実現できる技術のこと。取引の改ざんが事実上不可能であり、二重取引の防止や監査性に優れているなどの特徴があるという。このため、資金決済分野、証券分野等のさまざまな金融業務への適用や、土地の登記記録への適用等、幅広い分野での活用が期待されている。

 みずほフィナンシャルグループ(みずほ FG)<8411>、電通国際情報サービス(ISID)<4812>、カレンシーポート、日本マイクロソフトは、2月より「ブロックチェーン技術」の実証実験に協働して取り組み開始した。

 実証実験では、みずほと、金融機関向けシステム導入にノウハウを有する ISID、ブロックチェーン技術に関する研究開発を営むカレンシーポート、ブロックチェーンをクラウドサービス「Microsoft Azure BaaS(Blockchain as a Service)」として提供する日本マイクロソフトが、ブロックチェーン技術、およびスマートコントラクトの特性を活かし、関係当事者が多く事務効率化等が見込まれるシンジケートローン業務を対象として、技術の理解、金融業務への活用に向け実証実験を協働して行う。取り組みを通じ、適用可能性を検証のうえ、金融に革新をもたらすようなモデルの創出を目指す。

 また、みずほFG、Cognizant Technology Solutions(コグニザント)、およびコグニザントジャパンは、2月より「ブロックチェーン技術」の海外での実証実験をスタートさせた。実証実験では、みずほ FG と、金融業界向けサービス、コンサルティング、デジタル技術等のノウハウを有する米国企業のコグニザントが協働し、みずほ内での文書情報や記録の暗号化・共有について、ブロックチェーン上での運用可能性を多数のグループ会社が集積した東京とニューヨークの 2 拠点で検証する。取り組みを通じ、より堅固な記録管理業務、複数当事者による確認作業のさらなる迅速化・効率化を目指すとしている。

 これらに加えて、日本IBMも動き出している。同社は、日本取引所グループ(JPX)と共同で低トランザクション市場を想定したブロックチェーン技術に関する実証実験を、3月より支援することで合意した。

 今回、日本IBMはJPXと共同で、ブロックチェーン技術の特性を長短所の両面から早期に把握し、ブロックチェーン技術の評価と低コストでの運営可能性を検証する。実証実験では、業界標準として広く普及する可能性や、各種認証方式やプライバシー要件、複数資産カテゴリー、複雑な業務処理への適用を勘案し、多くのオープン技術を確立してきたオープンソース・コミュニティであるLinux Foundationが提唱するハイパーレジャー(Hyperledger)プロジェクトのフレームワークを利用予定である。

 ハイパーレジャーの開発には、グローバルのIBM リサーチが貢献している。今回の実証実験で日本IBMは、IBM東京基礎研究所を含むIBMリサーチとの連携や、金融機関を含む60社を超えるグローバルでの顧客との検討実績といったグローバルのネットワークを活かした支援を推進していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)