被災県での起業に息切れ? 新設法人が減少傾向へ

2016年02月26日 08:39

 東日本大震災から間もなく5年。大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県では、震災後から2015年10月までに1万7,367社が新しく設立(以下、新設法人)されたことが東京商工リサーチの調べで明らかになった。一方で、2014年から2年続けて増加数が減少傾向になっていることもわかり、同リサーチでは「同リサーチでは「地域の経済的な停滞を示唆している可能性も否めない」としている。

 3県では、震災後から新設法人が前年を上回るペースで増加し続け、その伸び率は全国平均を大きく上回っていたが、2014年に前年より129社減って3,910社と、初めて減少に転じた。2015年1-10月も3,067社(前年同期3,315社)にとどまり、全国的には新設法人が逆に増加ペースとなる中、対照的な動きを見せている。

 2015年1-10月の新設法人を産業別でみると、サービス業他1,234社(構成比40.2%)がトップで、建設業712社(同23.2%)、小売業307社(同10.0%)、不動産業213社(同6.9%)が続く。同時期の全国の新設法人の建設業の構成比11.9%であることを考えると、復興工事の需要が根強いことがわかる。

 企業規模は、売上高が判明した4,860社で分類すると、売上高1億円未満が3,717社(同76.5%)で7割超を占めた。次いで、1億円以上5億円未満が975社(同20.1%)、5億円以上10億円未満が97社(同2.0%)と続いた。

 また、従業員数が判明した4,718社では、従業員4人以下が2,737社(同58.0%)と約6割に達し、10人未満でくくると8割以上を占めた。300人以上は9社(同0.2%)だけだった。

 同リサーチでは「新設法人は被災地の産業復興の担い手であり、労働力の受け皿でもある。新設法人の減少は今後の地域経済に停滞を招く可能性もあるので、起業や事業意欲を後押しする国や行政の支援はこれまで以上に大切になっている」とコメントしている。(編集担当:城西泰)