企業の7割がマイナンバー制度に対し「メリットなし」

2016年02月29日 08:18

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東京商工リサーチが2015年6月~7月に実施したアンケート調査では「メリットなし」、「情報漏洩リスクへの懸念」がクローズアップされたという。

 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が2016年1月に施行となった。東京商工リサーチが2015年6月~7月に実施したアンケート調査では「メリットなし」、「情報漏洩リスクへの懸念」がクローズアップされたという。

 今回も同社によるアンケートが行われた。それによると、導入が告知されてから各企業では対応を進め認知度も高まったが、施行されてもなお、業務面の負担が増すため「メリットはない」、または「わからない」とし、利活用も進んでいない実態がわかった。

 まず、「マイナンバー法の内容について、どのくらいご存知ですか?」という問いに対しては「概ね知っている、よく知っている」が5,046社(構成比64.0%)で約6割を占めた。「少し知っている」は2,513社(同31.9%)で、この両方を合わせた「知っている」と回答したのは7,559社(同95.8%)あり、9割以上に認知されていることがわかった。「あまり知らない、ほとんど知らない」はわずか328社(同4.2%)にとどまり、認知度の高さが目立った。

 また、「貴社にとってマイナンバー制度の一番のメリットは何ですか?」という問いに対しては、「メリットはない」が最多の5,881社(構成比74.6%)で約7割を占めた。次いで、「情報管理の利便性向上」が637社(同8.1%)、「公平性が徹底される」が552社(同7.0%)、「業務の効率化」が481社(同6.1%)、「その他」264社(同3.4%)、「業務の削減」65社(同0.8%)、「コストダウン」7社(同0.1%)と続く。

 「メリットなし」は前回調査(同65.9%)より8.7ポイント増加していて、マイナンバー制度の導入とともに、メリットなしと判断した企業の比率が高まっている。一方、「その他」の中には「まだ(社内で運用されていないから)わからない」「始まったばかりで、わからない」旨の回答が145社あり、一部ではまだ把握できていないことも垣間見えるとしている。

 「貴社にとってマイナンバー制度の一番のデメリットは何ですか?」という問いに対しては、「情報漏洩のリスク」が最多の3,194社(構成比40.5%)で約4割を占めた。次いで「業務の煩雑化」が1,809社(同22.9%)、「業務の増加」が1,802社(同22.8%)、「コスト増加」が548社(同6.9%)、「デメリットはない」が344社(同4.4%)、「その他」が156社(同2.0%)、「公平性が解消できない」が34社(同0.4%)の順だった。

 前回調査でもデメリットは「情報漏洩のリスク」(同53.3%)が最多だったが、構成比は12.8ポイント下がった。各企業がセキュリティ強化に努めたことや、行政による広報活動で安全性への認識が広がっていることがうかがえる結果となった。

 また、「業務の煩雑化」、「業務の増加」といった業務面への負担を指摘する回答は3,611社(同45.7%)で、構成比は前回(同27.3%)より18.4ポイント増加した。実務が始まってから現場での負担増加を実感してきたことに対して、会社の認識が進んできたことが考えられる。  反面、「その他」の中では「まだ始まったばかりで、わからない」旨の回答が65社(「その他」中の構成比41.6%)あり、デメリットについても、実際の把握までには多少の時間がかかるケースがありそうだとしている。(編集担当:慶尾六郎)