今月から開始されたマイナンバー制度。番号の取り扱い方によってはトラブルに発展しかねないが、新しい制度ができるタイミングは、不慣れな庶民を狙う詐欺グループにとっては狙い時となってしまう。そして、その手口もこの数カ月で変わってきていることが23日に発表された国民生活センターのまとめで分かった。
マイナンバー法は、定められた目的以外で個人番号を収集することも、他人に提供することも番号も禁じている。マイナンバーの通知が始まった10月以降、全国の消費生活センターには制度に便乗した不審な電話等に関する相談が増加している。不審なアプローチの目的はターゲットのマイナンバーを聞き出そうとすることだ。
相談内容は、マイナンバーが通知される昨年10月以前は、「口座番号を教えてほしい」「個人情報を調査する」といったストレートな質問をする電話や訪問という手口が多かったが、10月以降、通知が国民の手に届くとともにテレビなどでの啓発が盛んになると手口も巧妙化し、メールで「あなたのマイナンバーが漏えいしている」「サイト料金が未納になっていて放置するとマイナンバーの情報に影響する」などとして別サイトへ誘導するなど不安をあおるものが増えた。
さらに最新の相談内容をみると、再び訪問型も目立つようになり、「女性2人が『マイナンバーの関係で』と言って来訪し、家族5人分の通知カードが入った封筒ごと持ち去られた」「スーツ姿の男性が来訪し『お金を払わないと通知カードが白紙で届く」などと、きちんとした服装や態度で直接話をして信用させるという手口が目立つようになった。
国民生活センターでは「振り込め詐欺と違い、官庁が絡んでいるということを利用している。マイナンバーの通知や利用手続きで、行政機関の職員が家族構成、資産や年金・保険の状況、口座番号などを電話や訪問で聞くことやカード発行やセキュリティ対策で代金が発生することはない。不審電話はすぐに切り、来訪の申し出は断ること」と、さらなる注意を喚起している。
被害が出てその手口を知らせる啓発をしても、犯罪グループは次のアプローチ方法を考える。このいたちごっこは振り込め詐欺などいつか来た道。最後の防波堤はやはり、自分自身でしっかりした知識ときっぱり拒絶する態度を持つことだろう。(編集担当:城西泰)