マイナンバーとの関係は? 住基ネットは今

2015年12月19日 14:41

画・マイナンバーとの関係は? 住基ネットは今

確定申告で住基カードを使っていた人は、マイナンバーカードを発行する必要がある。先月から順次届いている「通知カード」はカード受け取りの際に必要となるので絶対に捨てないように

 来年1月から利用が始まるマイナンバー。一人ひとりに割り当てられた12桁の番号で、税分野や社会保障、災害対策や医療健康などさまざまな情報がその番号を元に管理される。行政事務の効率化のほか、「消えた年金問題」のような社会保障分野での不正や不手際の防止も期待されている。

 そこで思い出すのが2002年に始まった住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)。今回とは比較にならないほど大きな反対運動が各地で起き、横浜市や東京都国立市、福島県矢祭町といった自治体が加入を一時見送ったことを覚えている人も多いだろう。住基ネットは今どうなっているのか。マイナンバーとは何が違うのか。

 住基ネットの旗振り役は総務省。今回のマイナンバーの管轄は内閣官房のため、基本的には別の制度だ。マイナンバー制度の立ち上げ初期費用は約2700億円。運用には年間約300億円かかり、ICカードの発行費用として約500億円が見込まれている。住基ネットの年間運用コストが約130億円であったことと比較しても、マイナンバーは住基ネットの焼き直しではなく、新たな一大プロジェクトであることがうかがえる。

 しかし我々「割り当てられる側」としては、住基ネットに取って代わるものになりそうだ。住基カードとマイナンバーカードを両方所有することはできず、各自治体は窓口やホームページなどで「住民基本台帳カードがマイナンバーカードにかわります」と案内。17年1月以降は住基カードの新規発行は行われず、マイナンバーカードを取得する際には住基カードが回収される。

 つまり住基ネットはマイナンバー制度の普及にともない、まもなく幕を閉じる。運転免許証を持たない人が身分証明書代わりに住基カードを持っていたケースは散見されたが、多くの人が自分の番号を一度も見ないままこの制度はフェードアウトする。

 終了の準備は着々と進んでおり、住基カードの更新手続きは12月22日をもって完全に停止する。住基カードが期限切れで、かつマイナンバーカードを取得していない場合は確定申告でe-Taxが利用できなくなるので注意したい。影響を受ける可能性がある人は総務省によると約21万人とされているので、今まで使っていた人は有効期限を確認しておこう。

 約2000億円を投じた住基カードの普及率はわずか5%。「税金の無駄遣い」との批判は免れない。一方のマイナンバーはひもづく情報やその使用目的の多様さから、「行政手続きの簡素化だけが利点だった住基と違い、目的が明確」と許容する声も多い。どうか、また十数年後にひっそりと終了…とならないように、あまねく浸透する制度になってほしい。(編集担当:久保田雄城)