【今週の展望】春のメジャーSQ週の試練はどれだけ厳しい?

2016年03月06日 20:47

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これまで、さんざん辛酸をなめさせられたSQ週の火曜日、水曜日という「鬼門」。しかしムードが好転して迎えるメジャーSQ。300円安程度の「中波乱」で乗り切れるか?

 ボリンジャーバンドでは25日線-1σの15763円と+1σの17138円の間のニュートラル・ゾーンの中でも上限に近い位置にある。-2σは15075円、+2σは「雲」の中の17825円。そのすぐ上には75日移動平均線があるから、雲の中に入ったら抵抗を受けそうだ。

 オシレーター系指標は、1週間で826円も上昇したせいか「買われすぎ」シグナルが2つ点灯している。+53.8で買われすぎ基準値の+50をオーバーしたRCI(順位相関指数)と、97.2で買われすぎ基準値の70をオーバーしたストキャスティクス(9日・Fast/%D)がそれ。それでもRCIは少し上回っただけなので実質的に1個というところか。2月の金曜日はずっとマイナスだった25日移動平均乖離率は+3.3%で久々にプラスになったが、買われすぎ基準値の+5%(17272円)まではまだ余裕がある。25日騰落レシオは100.8、RSI(相対力指数)は69.1、サイコロジカルラインは8勝4敗で66.7%、ボリュームレシオは64.8だった。

 2月26日時点の需給データは、信用買い残は約2年10ヵ月ぶりの低水準だった2月19日からさらに397億円減って2兆4872億円で、信用倍率(貸借倍率)も19日の4.75%からさらに下落して4.59%。裁定買い残も19日から37億円減少して1兆8343億円で、昨年9月以来の低水準のまま。一方、信用買いした株の含み益(プラス)、含み損(マイナス)の程度がわかる信用評価損益率は2月12日にマイナス25.76%を記録したが、19日はマイナス17.91%、26日はマイナス16.73%と、2週連続で改善をみせている。

 2月第4週(22~26日)の投資主体別株式売買動向は、外国人は8週連続の4081億円の売り越し、個人は4週ぶりに売り越しに転じて売越額は417億円。信託銀行は買い越しが14週連続になったが買越額は3848億円で、第3週の4999億円から1151億円減少した。前々週の「需給三国志」は、外国人と個人の売りに信託銀行の買いが追いついていなかった。

 東証が発表するカラ売り比率は前週は2月29日は42.5%、3月1日は41.0%と高かったが、661円高の2日を境に2日は36.3%、3日は36.6%、4日は36.6%と低下した。終値が25日線を超えた2日は、カラ売り比率でも40%台とお別れした区切りの日だった。

 日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)は3月4日時点で29.05で、2月26日の34.09から5.04ポイント改善したが、それでも昨年末の20割れの水準は遠く、2月初めの水準にも戻っていない。まだまだ油断はできないようだ。

 世界のマーケットへの影響力が大きい4日発表のアメリカの2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが24.2万人で市場予測の19.6万人を大きく上回り、失業率は4.9%で市場予測と同じ、平均時給は前年比+2.2%で1月から伸びが鈍化して市場予測を下回った。3月の利上げを促すほどの良さではなく、4日のNYダウ終値は4日続伸して62ドル高で17000ドル台を回復し、為替のドル円は113円台後半。CME先物清算値は17030円で、大きな影響はなさそうだ。

 それを前提に、今週の上値を見定める際にまず考慮したいのが、下限が7、8日の17263円から11日の17422円へ上がっていく「雲タッチ」だろう。日足一目均衡表の雲は「コクーン(まゆ)」のようなもので、外から中に入ろうとすると抵抗され、中から外に出ようとする時にも抵抗される。下から雲にタッチしようとすると下値がレジスタンスラインになる。

 雲の中に移動平均線やSQ値などが入っていると「筋金入り」の強い抵抗をみせる。4日時点では17908円の75日線、17825円の25日線+2σに、25日移動平均線+5%の「乖離率の買われすぎ基準値」17272円も雲の中に入っている。そのため雲にタッチしてもなかなか深くは入っていけないと思われる。

 今週は826円上昇した翌週なので利益確定売りが入りやすく、メジャーSQ週の「鬼門」も8、9日に控えているので、ドル円が115円にタッチでもしない限り、終値は17300円程度が限界ではないだろうか。

 そのメジャーSQ週の「鬼門」によってどこまで下がる恐れがあるかという下限については、為替のドル円がもし112円台まで円高が進行したとしても、前週2日に抜けた25日移動平均線16450円がサポートラインになってくれるという見方でいいだろう。25日線の力を見くびってはいけない。

 下限が16500円だとしても、4日終値から514円も安い。2月はボロボロにされた需給も改善しており、3月に入ってからの4連騰でマーケットのムードはけっこう良くなっている。先物の期先へのロールオーバーがスムーズに進んで、500円安を超えるような「大波乱」まではいかず、300円安の「中波乱」程度で今週の「鬼門」を乗り切れるだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16500~17300円とみる。「春のIPOまつり」真っ盛りで月末の権利確定イベントも近づき、個人投資家が冬に追証などで負った傷も、だんだん癒えてくる頃か。(編集担当:寺尾淳)