2015年12月に総務省がNTTドコモ<9437>、KDDI<9433>、ソフトバン<9984>クの大手3キャリアに対して、スマートフォン(多機能携帯電話)の「実質0円販売」を是正するように提言したことを受け、3キャリアは今年2月より「実質0円販売」を終了したが、その影響がスマートフォンの販売台数に如実に表れる結果となった。
9日にIT関連調査会社のBCNが、全国の家電量販店23社のPOS(販売時点情報管理)データを集計した結果を発表。それによれば、2月のスマートフォンの販売台数は前月比47.9%減、前年同月比では17.5%減とそれぞれ大幅に減少したことがわかった。「実質0円販売」が終了となり割高感が高まった大手3キャリアから、SIMフリーのスマートフォンなどの割安な料金プランにユーザーが流れたことが、大幅減少の要因であると考えられる。大手3キャリアの2月の前年同月比は、NTTドコモが前年同月比31.4%減、KDDIが同32.4%減、ソフトバンクが同67.0%減23.0%減と、それぞれ販売台数を約20~30%程度落とした中、SIMフリーのスマートフォンは同約1.5倍にまで急増。さらに全体に占める比率も1月の8.6%から17.9%と2倍以上伸長し、過去最大となった。
さらにメーカー別に販売台数を見てみると、米アップルの落ち込みが目立つ。米アップルの2月の販売台数は28.1%減であり、人気機種「iPhone」の販売低迷が影響した。「iPhone」は去年11月にも不調をみせたが、2月はさらにその傾向に拍車がかかった。そのほか、ソニーモバイルも同41.7%減と大きく低迷した。
総務省の提言により大手3キャリアはキャッシュバックなどの多額の販売経費を削減し、「実質0円販売」を終了させ、人気機種である「iPhone」などの端末の店頭販売価格が実質値上げされた。この「実質0円販売」終了が報じられた1月は、駆け込み需要も発生し前年同月比38.6%増となったが、2月はそのプラスを上回るマイナスとなった。こうした状況の中、光明を見出すことができる材料は、やはり現地時間15日に発売が噂されている新型「iPhone」の存在だが、今回の「iPhone」の低迷を見る限りは、どの程度好材料となるかは未知数だ。(編集担当:滝川幸平)