日本銀行が導入したマイナス金利の影響により、国債などで運用する公募投資信託のMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の解約が相次いだことなどにより、公募投資信託全体が流出過多となった。流出過多となるのは2013年6月以来、2年8ヶ月ぶりのこととなる。
11日、投資信託協会が2月の投資信託概況を発表。それによれば、一般投資家が購入できる公募投資信託は、設定額から解約・償還額を差し引いた金額は4645億円であり、流出超過となった。2年8ヶ月ぶりの流出過多であるとともに、資金流出額の規模も、リーマン・ショックが起こった08年10月の7439億円以来、7年4ヶ月ぶりの大きさとなった。
公募投資信託は、投資家から集めた資金を、株式、国債、社債といった債券に投資して運用する金融商品で、主に個人の投資家向けに販売されている。日本銀行のマイナス金利の導入により、債券の利回りが低下し、短期国債などで運用する公募投資信託のMMFの資金流出額が急激に拡大。株式投資信託も、株価下落の影響を受けて資金流入額が通常月の約半分にまで落ち込んだ。株式投資信託の資金動向は4172億円の流出過多。こうして流出過多となるのは3ヶ月連続のこと。その一方、運用成績は4兆2022億円のマイナスであり、純資産総額は74兆5279億円と3ヶ月連続のマイナスとなった。公社債投資信託の資金動向は8817億円の流出過多で、待機資金の受け皿であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)は3285億円の流出過多。公社債投資信託の純資産総額は14兆3317億円に減少した。公募投資信託の純資産総額は、前月よりも4兆6667億円少ない88兆8597億円となっている。
こうして日本銀行のマイナス金利の影響により、分配金が一層減少すると見込まれたMMFで解約が相次ぎ、結果、流出過多となった公募投資信託だが、投資信託協会はこの結果について、MRF以外の日々決算型の商品に関してはマイナス金利の影響が出ているとの認識を示すとともに、MMFについてはしばらく純資産総額の減少が続くのではないかとの見方を示している。(編集担当:滝川幸平)