日本銀行によるマイナス金利の導入を受け、すでに三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガ銀行が定期預金の金利を0.01%に引き下げているが、11日、ゆうちょ銀行<7182>も定期貯金の金利を14日から引き下げるとの発表を行った。日本銀行がマイナス金利を導入して以来、ゆうちょ銀行が貯金商品の金利を引き下げるのは、これで3回目のこととなる。これまで1ヶ月から5年までの定期預金の金利は年0.025~0.03%であったが、これを三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行と同じく0.01%とする。
また、ゆうちょ銀行は定期貯金だけでなく、かつて高金利商品として人気があった定額貯金の金利についても14日の預け入れから引き下げると発表。これまで0.025%だったものを0.01%とする。日本銀行がマイナス金利の導入を決定して以来、定期貯金と定額貯金の金利を引き下げるのは、2月9日に続いてこれで2回目となる。ゆうちょ銀行はまず、2月9日に1ヶ月から4年の定期貯金の金利を、これまでの年0.035~0.05%から年0.025%に引き下げ、2月23日には民間銀行の普通預金にあたる通常貯金の金利を年0.001%と、大手銀行並みに引き下げていた。
今回のゆうちょ銀行の金利の引き下げの要因として、日本銀行のマイナス金利の影響により、長期金利の代表的な指標となっている満期までの期間が10年の国債の利回りが、過去最低を更新するなど低下していることが挙げられる。企業や個人向けに融資することができないゆうちょ銀行は、約200兆円の資産の運用を国債などに頼っている。そのため、上記の三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行と比べて収益環境は厳しい。これまで民間銀行よりも高めの金利を設定していたが、マイナス金利が導入されてからは貯金の金利を大手銀行並みにしている。
マイナス金利については、その効果よりも、何かとデメリットが取り沙汰されることの方が多いように感じるが、今回のゆうちょ銀行の定期貯金、定額貯金の金利引き下げもそのデメリットの1つとしてカウントされてしまう可能性はある。早く何かしらの効果が実感できない限りは、「政策として失敗だったのでは?」という疑念が国民の間で起こるのを止めることは難しいだろう。(編集担当:滝川幸平)