マイナス金利で注目 デパートの「友の会」とは

2016年03月07日 08:47

画・マイナス金利て_注目 テ_ハ_ートの「友の会」とは

「友の会」入会者の増加に沸いている百貨店。2月の入会者数が前年同期比で2倍近くに跳ね上がったところもある。各店は春に向けてキャンペーンを打ち、入会者はさらに増える見込みだ

 日銀が導入したマイナス金利政策の影響で、金融機関では住宅ローンや預金の金利引き下げが相次いでいる。銀行の普通預金の金利は限りなく0%に近づき、貯蓄性のある保険に販売停止の動きが出るなど、波紋が拡大している。

 その動きを受けて、家庭の資産運用にも変化が見え始めている。「タンス預金」の増加で金庫の売り上げが急増しているほか、ある積み立てサービスにスポットライトが当たっているのだ。

 それは、大手百貨店の「友の会」。顧客が一定期間お金を積み立てるとボーナス付きの商品券などが受け取れるサービスで、その「お得感」から加入者が急増している。各社ごとに仕組みは異なるが、例えば毎月1万円を1年間(12カ月)積み立てると、ひと月分加えた13万円の買い物券がもらえるというパターンが多い。この場合、12万円の「投資」に対する利回りは年約8%にもなる。

 高島屋<8233>では2月1日から21日までの新規や追加の入会件数が前年同期に比べて66.5%も増えた。積立金額は5000円から5万円まで選べるが、3万円のコースが5倍、5万円のコースが3倍と、高額のコースが伸びているという。

 小田急百貨店<9007>でも友の会「レディスクラブ」の入会者数が急増。2月の入会者が前年同期比で約2倍となった。12カ月コースの積立額は5000円から3万円の間で選べるが、やはり高額の3万円を指定する人が多いそうだ。

 そのほか東武百貨店<9001>や大丸松坂屋<3086>でも、新規入会者が順調に増え、問い合わせも殺到している状況だ。3月に大々的なキャンペーンを打つ店舗もあり、知名度の向上とともに会員数はさらに伸びると予想されている。

 注意点もある。満期まで積み立てないとボーナスがつかないことや、その商品券は発行した百貨店での買い物にしか使えないことだ。やみくもに入会するのではなく、「その百貨店で確実に商品を購入するかどうか」を見極める必要がある。お中元やお歳暮、お祝いなどで毎年百貨店の商品を購入する人には、うってつけのサービスといえる。

 高島屋の広報は「銀行に預金するよりも友の会に入った方が有効に資産を活用できると考える顧客が増えている」と話し、流れの変化を実感している。日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事は「百貨店をあまり利用しない若者や男性客にも認知が広がれば、売上高の面でも効果が見込める」と期待を寄せている。(編集担当:久保田雄城)