札幌の一極集中進む北海道で、人口を増やした町とは?

2016年03月06日 17:21

 北海道の2015年国勢調査(速報)が発表され、道内の人口は538万3579人だった。10年の前回調査(確報)より2.2%減り、下落幅は前回と同じで過去最大となった。ピーク時の1995年(569万2321人)に比べると約30万人減っており、現在の旭川市の人口分が消えたことになる。道統計課は「自然減に加え進学や就職で道外に流出する社会減が全体を押し下げた」と分析している。市町村別では道内179市町村の9割超にあたる171市町村で減少、一方で札幌市は2.1%増の195万3784人となり、一極集中が一段と進んでいる現状が浮かんだ。

 4万239人が増えた札幌市は、就職や進学による「社会増」が数字を押し上げた。サービス産業である第三次産業の比率が全産業の約95%を占めていることや、観光の玄関口であることが理由だと考えられている。しかしその札幌でも自然減は09年に始まっており、「人口はまもなく減少に転じる」(市企画課)とされている。

 一方で、希望の光も見えつつある。道央に位置する東神楽町は前回調査から人口を10.1%増やし、はじめて1万人を超えた。旭川市に隣接するベッドタウンではあるが、当の旭川市の人口は7298人減って34万人を割り込んでいるため、東神楽独自の現象だ。子育て支援の制度が充実していることや、旭川空港が訪日外国人の呼び込みに成功して周辺の地域経済が活気づいていることが理由と考えられている。

 東神楽の東隣、東川町も前回から人口を3.3%増やした。町は「定住促進課」を設立しており、30年にわたり移住促進政策を行ってきた。1985年には世界初となる「写真の町」を宣言し、国際写真展の「東川町フォトフェスタ」や高校生による「写真甲子園」を毎年開催、同内外から人を集めている。

 高橋はるみ知事は26日に開会した第1回定例道議会で、任期4期目の公約に掲げた「〝人口減少・危機突破〟〝世界に輝く北海道〟の実現に向けて、総力を挙げて北海道創生を加速していく」と決意を見せた。具体的には子育て支援の充実や食を中心とした輸出の拡大、観光客の受け入れ態勢の強化などで地域を活性化させるとしている。東神楽や東川の例を活かせるか。民間やNPO と連携して「オール北海道」で取り組んでいくとする高橋道政に期待したい。(編集担当:久保田雄城)