小売店やレストランでのカード支払いはいまだに課題だ。また海外発行カードで現金を入手できるATMが見つからず、苦労している訪日外国人も多い。環境を整備することももちろんだが、それを周知させることも必要だ。
訪日外国人増加に沸いた昨年。今月初旬の「春節」の様子を見る限りその波は今年も続きそうだ。政府も「観光立国」の実現に向けて2020年に訪日外国人数2000万人を目指して、アクション・プログラムを関係閣僚会議で発表している。
その訪日外国人が高い確率で使用するのがクレジットカード。日本人であっても、日常では使わないが海外旅行では使うという人は多いだろう。訪日外国人も同様で、日本でも決済方法は53%がカード、47%が現金となっている。国籍別のカード利用率1位の中国人にいたって81%もの人がカード決済をしており、日本においての主要な決済手段となっている。
だが、日本クレジットカード協会(略称JCCA)が14年末に行った調査によると、訪日外国人の3人に1人が「決済意向がある場面で利用できないことがあった」と回答している。また、最大の不満が「店舗入口等にカードの利用可能表示がないこと」であったことも分かっている。
では、現場である店舗の現状はどうなっているのだろうか。結果を受けて同協会は先月、追加調査を行った。対象は年間約1891万人の観光客が訪れる浅草の浅草商店連合会。まず、今後の外国人観光客受け入れについての質問をした結果、「積極的に受け入れたい」「どちらかといえば受け入れたい」と回答した店が92%と高い割合を示した。
次に、14年の調査で不満点とされていたカードの利用可能表示について聞いた。その結果8割の店舗が国際ブランドロゴシールを表示してカードが利用できる旨を伝えていると回答した。
また、カード決済導入の理由としては、「決済手段として必要と考えるため」との回答が5割と最も多く、「カードが利用できないことによる売り損じがあったため」という回答が3割で次点だった。
そして浅草・仲見世商店街におけるクレジットカード・現金支払の一人あたりの平均購入金額については、興味深い結果が出た。カード支払による購入金額は4557円、現金支払による購入金額は2825円と約「1.6倍」となったのだ。特に「食べ物」については3.3倍もの差があった。中国人観光客の64%が「カード払いがもっと利用できれば消費額は増える」と回答しているデータもあり、カード利用環境の整備は、売り上げの向上に直接つながる。2020年に向けて、各地で対応が必要となってくるだろう。(編集担当:久保田雄城)