【今週の展望】東京市場の「受難劇」はいつ、終わるのか?

2016年03月21日 20:23

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世界から見捨てられたように見えるのは、円高という重い十字架を背負って歩くゆえ。そのくびきから解き放たれた時、東京市場に「復活の日」が訪れるのか。

 アメリカの主要企業の決算は、22日にナイキ、23日にKBホームが発表する予定。

 前週は、メジャーSQを通過した「SQ後週」なのでアク抜けして安定するのかと思いきや、15日は日銀会合の結果発表後に乱高下。17日はFOMCの後に「円高なのに株高」という「掟破り」のような状況が出現したのもつかの間、それをとがめられお仕置きされるかのように後場は大幅下落。18日はドル円110円台への円高進行により朝からボロボロ売られ尽くした。3月は、18日までともに12勝2敗、〃勝率〃85.7%のNYダウ、上海総合指数とは対照的に、日経平均は18日まで7勝7敗と五分の星にとどまっている。ヨーロッパも東京市場よりは成績が良い。ドル円が115~125円の人呼んで「黒田ゾーン」の下端にも全く届かないまま、日本株は世界から取り残されている。

 週末18日の日経平均終値は16724.81円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は25日線の16497円は下にあり、5日線の16997円、75日線の17528円、200日線の18751円は上にある。ボリンジャーバンドでは、25日-1σの16047円と+1σの16947円の間に18日終値が位置し、ニュートラル。上にも下にも動きやすい。

 前週17日、日経平均は1月6日以来の「雲タッチ」を果たしたが、18日の日足一目均衡表の「雲」は16526~17439円で、終値は雲の内側に位置する。雲の中では上限が上値抵抗線、下限が下値支持線として作用するが、今週の雲の上限は22日が18日と同じ17439円、24日が17433円、25日が17416円と小さく動き、下限は16526円から22日は16211円、24、25日は16183円と大きく下がっていく。上値を抑える雲の上限は同じような位置にあり、下落時の下支えになる雲の下限は頼りなく下がっていく。

 18日時点のオシレーター系指標は、買われすぎシグナルが1個だけ点灯している。25日騰落レシオが129.1で買われすぎ基準の120をオーバーしていた。一方、サイコロジカルラインは5勝7敗で41.7%と50%を割り込んでいる。25日移動平均乖離率は+1.4%、RSI(相対力指数)は64.2、RCI(順位相関指数)は+0.7、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は48.2、ボリュームレシオは51.9だった。指標は、買われすぎ基準ラインに近いもの、ニュートラルなもの、売られすぎ基準ラインに近いものが混在していて判断がつきにくいが、全体的にみてニュートラルと思えばいいだろう。

 11日時点の需給データは、信用買い残は4日から1183億円増の2兆5680億円で、5週間ぶりの増加。信用倍率(貸借倍率)も3.92から4.31に持ち直し、裁定買い残は882億円増の2兆26億円で5週間ぶりに2兆円台を回復した。明らかに需給のトレンドに変化があらわれていた。2月12日はマイナス25.76%だった信用評価損益率は4週連続で低下し、マイナス11.67%。もはや、とりたてて何か言うような数字ではない。

 東証が発表した7~11日の週の投資主体別株式売買動向によると、外国人は10週連続売り越しで売越額は1兆1932億円という巨額。1982年7月に統計をとり始めてから最高額で、ニュースになった。個人は3週ぶりの買い越しで買越額は2038億円、信託銀行は16週連続の買い越しで買越額は736億円。メジャーSQ週の「需給三国志」は外国人が1987年10月の「ブラックマンデー」直後以来の空前の売り越しを演じたが、「鬼門」の週前半に集中したようで週間騰落は75円安。それでも「アク抜け」ではないとは。

 前週のカラ売り比率は、14日が35.4%、15日が38.9%、16日が38.2%、17日が39.0%だったが、18日は40.4%で13営業日ぶりに40%台に乗った。まだまだ需給リスクの「病気」は治っていないのだ。しかし日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)のほうは18日時点で25.35で、11日時点の28.95から3.6ポイントも低下。17日は23.77まで下がった。需給は改善したのか、していないのか、解釈が分かれるところか。

 現状では、一目均衡表の雲の中にあり、ボリンジャーバンドがニュートラル、オシレーター系指標もニュートラル、需給データは改善したような、改善していないような……そんな状況で今週、重みを持ちそうなのが「25日移動平均線」だろう。火曜日から始まる今週の4日間は基本的に「雲の中」だけで動くとしても、雲の下限が下がっていくので、下値のメドとしてまず考えられるのがこの25日線である。

 25日線の上には3月SQ値の16586円があり、先物も加わったメジャーSQ値なので効果が長持ちする。これがテクニカル的にみて今週の下値の「第1防衛線」で、18日時点で16497円の25日線が「第2防衛線」になりそうだ。

 前週は海外市場の状況が非常に良かったので、もし、為替のドル円が112~113円台であれば最低でも17000円台は堅持できたはず。前週のような大きなイベントがない今週は、為替のドル円レートはファンダメンタルズ的にも、テクニカル的にも、110円割れを起こすよりは112円台に戻っていく可能性のほうが大きいと思われるので、日経平均の下値はその分、限定的だろう。3月SQ値、25日線は大きな支えになってくれるはずだ。

 一方、上値のほうは25日線+2σの17397円をオーバーしても、そのすぐ上の雲の上限(17416~17439円)がレジスタンスラインになり、さらに上には17528円の75日線も控えている。為替レートに助けられて日経平均が17000円台を回復しても、4営業日しかないので日足一目均衡表の雲の上に出るのはなかなか難しいと思われる。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは「雲」から外に出られずに16500~17400円とみる。25日は「聖金曜日」で欧米市場のほとんどが休場し、27日は復活祭(イースター)。円高という重い十字架を背負って歩き、「世界の投資家はなぜ私をお見捨てになるのですか?」と声をあげそうな東京市場の「受難劇」はいつ終わり、復活の日はいつ、訪れるのだろうか?(編集担当:寺尾淳)