どんどん身近になるAI  損保ジャパン日本興亜がコールセンターへ導入

2016年03月26日 18:08

 野村総合研究所によると、人工知能(AI)は自己学習し、様々な用途に活用されるようになるという。現在でもすでに我々の生活の中に入り込んできている。今回、損害保険ジャパン日本興亜株式会社は、コールセンターの一部において、2 月 1 日からAIや音声認識技術を活用した「アドバイザー自動知識支援システム」の運用を開始した。

 現在、アドバイザー(損保ジャパン日本興亜では、オペレーターを「アドバイザー」と称している)は、利用者からの照会に迅速かつ正確に回答するため、各種マニュアル類・規定、商品パンフレット、FAQ 集、社内イントラネットなど、多くの種類の文書を参照している。

 このため、応対品質がアドバイザーの経験と文書探索力に依存するところがあり、特に、新たに配属されたアドバイザーは自力で目的の文書を探し出せるようになるまでに一定期間を要するという課題が生じているという。また、超高齢社会の到来による労働人口の減少により、コールセンターの人材確保が難しい環境になることが予測され、「ヒト」と「機械」が連携したコールセンターの体制確立に一層取り組んでいく必要がある。これらの状況をふまえ、コールセンターにAIや音声認識技術を活用した「アドバイザー自動知識支援システム」を導入したという。

 システムは、コールセンターに日本語解析技術を活用した音声認識技術を導入し、利用者とコールセンターのアドバイザーとの通話をテキスト化する。テキスト化したデータをもとに、複数の要素技術を活用したAIによる「アドバイザー自動知識支援システム」が、データベースから問い合わせに対する最適な回答候補を検索し、アドバイザーが使用するパソコン上にリアルタイムで表示。これにより回答時間の短縮を図る。

 アドバイザーは、回答後、システムが表示した回答候補の検索結果の正否をフィードバックすることでシステムに学習させ、回答候補表示の精度向上(機械学習)につなげていく。

 これにより、経験の浅いアドバイザーでも迅速な回答がしやすくなり、応対品質が向上するとともに応対時間が短縮する。また、音声データをテキスト化することで、問い合わせが多い業務や不満、新たなニーズなどさまざまな分析ができ、商品・サービスの改善、コールセンターの応対力強化につながることが期待されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)