利用されていない空室をなくすために、観光庁が対策に乗り出す。宿泊予約サイトに登録されていない空室情報を整理し、観光案内所の宿泊情報設備への補助金を検討。今夏の旅行シーズンに大都市をモデル地域とし、実証実験を行う予定だ。
訪日外国人が増え、国内の宿泊施設の客室稼働率が上昇している。昨年の客室稼働率は全国平均60.5%、東京都や大阪府では平均80%を超え、延べ宿泊者数が5億人を上回った。今年も好調で、1月の外国人延べ宿泊数は前年同月比+46.3%で、延べ宿泊者数(全体)が2007年の調査開始以来最高の3,581万人泊(前年同月比+1.3%)に達した。
夏の繁忙期になると一気に客室稼働率がアップし、外国人だけでなく日本のビジネス客も予約が困難となるため、早期対策が迫られている。
観光庁が調査を行ったところ、繁忙期でも利用されていない空室があることが判明した。自社サイトでしか予約できない、地域の観光案内所に提供している、大手取引先の緊急時の備えとして確保している、直前のキャンセルなどが原因だ。
これを受け、観光庁は宿泊予約サイトに登録されていない空室情報を整理し、観光案内所の宿泊情報設備への補助金を検討。繁忙期にあたる今夏の旅行シーズンに、東京都や大阪府などの大都市をモデル地域とし、実証実験を行う予定だ。
宿泊予約サイトは、地域や料金、設備などにこだわって宿泊施設を検索し、予約できるシステムで、多言語予約に対応しているサイトも多い。駅近、大浴場、ネット接続などの細かい条件を指定して絞り込めるため、目的に適した宿泊施設を見つけることができる。観光庁は、宿泊予約サイト介して予約が成立した際に、宿泊施設側がサイト側に支払う手数料の補助を検討しているという。
また、観光案内所に直接問い合わせないとわからない空室情報を簡単に見れるようにする目的で、電光掲示板の設置の補助も対策案として挙がっている。実証実験に向けて、宿泊・旅行業界、地域の観光協会などの協力を得たいとしている。
空室を無駄にしている現状が残念でならない。部屋を確保できて初めて旅行が成立するのだから、逃した利益は宿泊費だけの話ではないのだ。宿泊施設数が減少傾向にある中、想像以上に深刻な問題である。(編集担当:久保田雄城)