8日、中国政府は海外で購入した商品に課す関税の引き上げを行った。中国人観光客による”爆買い”を抑止し、低迷する国内消費を回復させたい狙いとみられる。中国政府の狙いが的中したら、日本国内の小売業は少なからず打撃を受けるだろう。
4月8日、中国政府は海外で購入した商品に課す関税の引き上げを行った。中国人観光客による”爆買い”を抑止し、低迷する国内消費を回復させたい狙いがみえる。
前回、昨年6月に関税の見直しを行ったばかりだが、今度こそは同政府の目論見通りとなるか。前回は一部の日用品(衣料品や紙おむつなど)の関税を平均約50%引き下げ、輸入品の販売価格を下げて国内消費を刺激し、国外での爆買いを抑えようとしたが、その後も爆買いの勢いが止まることはなかった。今回は、高級腕時計の関税税率を30%→60%、酒や化粧品なども50%→60%へと引き上げられ、日本の百貨店など小売業への影響が懸念されている。
観光庁によると、昨年における訪日外国人の旅行消費額総額は、多い順で中国1兆4,174億円(構成比40.8%)、台湾5,207億円(同15.0%)、韓国3,008億円(同8.7%)と、中国が突出している。旅行支出も中国が28.4万円と一番高く、次いでオーストラリア(23.1万円)、スペイン(22.7万円)。
訪日中国人の旅行消費の内訳を見てみると、買い物代が8,088億円(57.1%)、宿泊料金2,503億円(17.7%)、飲食費2,113億円(14.9%)、交通費1,094億円(7.7%)、娯楽サービス費315億円(2.2%)、その他61億円(0.4%)と、買い物代の割合が圧倒的に高い。一方、欧米やオーストラリアでは宿泊料金の割合が4割前後と、中国とは消費傾向が異なる。
中国人の日本旅行ブームと爆買いによる日本経済への影響は数字を見れば明らかで、中国政府の狙いが的中したら、日本国内の小売業は大打撃を受けるだろう。
大手百貨店4社の今年の初売りは、爆買いの恩恵を受けて、各社ともに”前年並み”を確保し、高島屋<8233>では免税店の売り上げが前年比5割増を記録した。爆買いへの依存が浮彫りになる中、新たな戦略を打ち出せるのだろうか。日本国内においては、78%が景気回復を実感していないという現状で、日本人の購買意欲を高めるのは至難の業だ。(編集担当:久保田雄城)