【百貨店、専門店業界の2016年2月期決算】いつまでもあると思うなインバウンド消費

2016年04月15日 07:06

 ■専門店大手は業種を問わずおおむね業績改善

 小売業の百貨店、専門店業界の主要各社の2016年2月期本決算がほぼ出揃った。

 百貨店は、高島屋<8233>は営業収益1.9%増、営業利益3.0%増、当期純利益5.5%増で、上場株式売却益137億円を特別利益に計上したものの、前期の2ケタ増益から増益幅が圧縮した。年間2円の増配。百貨店は高額商品が売れ行き好調でインバウンド消費は免税販売額2.2倍と旺盛でも、収益源の衣料品の販売がふるわず苦戦。好調なショッピングセンターやクレジットカードなど金融事業の利益で補った。

 セブン&アイHD<3382>傘下の西武・そごうは営業収益0.1%増、営業利益27.5%減の増収減益。決算期が2月期ではなく3月期なので通期見通しだが、三越伊勢丹HD<3099>は売上高は3.0%増、営業利益は11.8%増、当期純利益9.7%減の見込み、阪急百貨店と阪神百貨店のH2Oリテイリング<8242>は売上高8.6%増、営業利益15.2%増、当期純利益は20.8%増の見込み。

 東京、大阪の中心部に店舗を持つところは訪日外国人観光客の「インバウンド消費」が依然好調だが、その恩恵にあずかれない地方百貨店はおおむね苦戦している。インバウンド消費も、いつまで続くかわからない。

 専門店チェーン大手は業態、企業を問わず、おおむね業績が改善している。

 「無印良品(Muji)」の良品計画<7453>は、営業収益は18.2%増。営業利益は44.4%増で前期を大きく上回り、前期は小幅減益だった当期純利益は30.6%増とV字回復し最高益更新。年間で56円増配。大消費地の上海に大型店を開店してアジア事業が売上高約5割増と大きく伸びたため。国内事業も客単価が7.7%、既存店売上高が4.9%伸び、ネット通販も好調だった。

 カジュアル衣料のしまむら<8227>は売上高6.7%増、営業利益8.4%増、当期純利益6.3%増で、2年連続の減益から増益に転じた。粗利益が取れる独自ブランドの商品が売れたものの、当初計画した2ケタ増益には届かなかった。

 靴のABCマート<2670>は、売上高は11.5%で前期に続き2ケタ増収だったが、営業利益は4.7%増、当期純利益は7.2%増で前期の2ケタ増益から1ケタ増益に変わった。配当は年間20円増配。スポーツシューズ、特に海外ブランドのスニーカーが女性に人気。インバウンド消費も依然好調という。

 家具のニトリHD<9843>は売上高9.8%増、営業利益10.2%増で29期連続営業最高益。当期純利益は13.3%増。高機能の寝具などが好調だった。「プランタン銀座」など都市部への出店で客層がひろがって既存店客数が増加に転じ、2ケタ増益につながった。

 ホームセンターのDCMHD<3050>は営業収益1.6%増、営業利益11.0%増、当期純利益17.0%増で、前期の減収減益から一転、増益、2ケタ増益と復調。期末で1円増配した。PB商品の販売比率が高まり採算が好転している。

 外食の吉野家HD<9861>は、売上高は3.2%増と増益だったが、前期大幅増だった営業利益は54.1%減、当期純利益は11.0%減で、一転大幅減益。利益率が高い「牛すき鍋膳」の一時のブームが終わり、牛肉の在庫評価損も利益を圧迫した。

 
 ■今期見通しは百貨店控えめ、専門店大手強気

 百貨店、専門店業界の2017年2月期の通期見通しは、概して言えば百貨店は控えめ、前期に回復をみせた専門店大手は強気だ。

 百貨店は、高島屋は営業収益2.5%増、営業利益3.1%増、当期純利益0.7%増を見込み、増収増益だが特別利益を計上した前期の反動で最終増益幅は小幅。インバウンド消費は今期も引き続き伸びると見込んでいる。西武・そごうは営業収益1.1%減、営業利益34.9%増を見込んでいる。

 専門店チェーン大手は、良品計画は営業収益9.4%増、営業利益10.3%増で連続2ケタ増収増益、5期連続最高益の見通し。当期純利益は11.9%増の連続2ケタ増益を見込む。為替の円高で、海外事業の円ベースの売上高、利益の伸びは抑えられるとみている。しかし160店を出店する中国の景気は製造業は減速しても個人消費は旺盛なので、それほど不安は持っていない。夏にインドに新規出店する。

 しまむらは売上高は5.2%増、営業利益は15.8%増、当期純利益は23.7%増と2ケタ増益を見込み、最終利益は4期ぶりの最高益更新を狙う。夏物商戦では割安感と品質を両立させた独自ブランド商品で勝負し、既存店の採算改善を図る。

 ABCマートは、売上高2.0%増、営業利益2.9%増、当期純利益9.0%増の見通し。輸入品の円高差益で営業利益は14期連続、最終利益は4期連続の過去最高益を見込む。およそ50店舗を新規出店。インバウンド需要も衰えないとみている。

 ニトリHDは売上高8.5%増、営業利益7.6%増、当期純利益8.3%増。高島屋が横浜市の港南台店にニトリ店舗を誘致する今期も前期と同程度の好調な業績が続き、当期純利益は18期連続で最高益を更新する見通し。

 DCMHDは営業収益は2.2%増、営業利益は4.6%増、当期純利益は3.3%増で4期ぶりに最高益を更新する増収増益を見込んでいる。その見通しに含まれていないが、4月に株式交換方式で子会社化する形で同業のケーヨー<8168>との経営統合を発表。昨年7月のサンワドーに続き2年続けての大型M&Aでさらなる規模拡大を図る。営業収益の上方修正の可能性は濃厚だが、利益にも統合効果は出るか?

 吉野家HD は売上高は3.9%増、営業利益は約2.1倍の110.7%増、当期純利益は約2.3倍の126.9%増で、前期落ち込んだ利益のV字回復の見通し。吉野家の「豚丼」など新商品投入による既存店客数の回復、牛肉など原材料価格の低下による採算改善を見込んでいる。旧本社の売却益を特別利益として計上し最終利益を上積みする。(編集担当:寺尾淳)