【今週の振り返り】波乱がきても後場強く75円下落にとどめた週

2016年03月12日 20:33

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8日は341円安を128円安まで引き戻した。9日は288円安を140円安まで引き戻した。そうやってSQ週の「鬼門」を通過。そのしぶとさは、健闘したとほめていいか?

 7日の日経平均は5日ぶりに反落。4日発表のアメリカの2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが24.2万人で市場予測の19.6万人を大きく上回り、失業率は4.9%で市場予測と同じ。平均時給は前年比+2.2%で1月から伸びが鈍化し市場予測を下回った。3月の利上げを促すほどの良さではなく、4日のNYダウ終値は4日続伸し62ドル高で約2ヵ月ぶりに17000ドル台を回復した。貿易統計は赤字拡大。原油先物価格は35ドル台まで上昇。CME先物清算値は17030円。7日朝方の為替レートはドル円が114円近辺、ユーロ円が125円台前半とECBの追加緩和期待でユーロ高が進行した。

 日経平均は9.86円高の17024円で始まる。TOPIXはマイナスでスタート。日経平均がプラスだったのは30秒だけで、マイナスに変わり17000円もあっけなく割り込む。4日続伸後の戻り待ちの売りによる序盤の下落は16900円の手前で下げ止まり、安値は10時11分の16904円。中国の全人代(全国人民代表者大会)で、2020年までの5年間の平均GDP成長率は「6.5%以上」という保守的な目標が打ち出されたが、上海市場は小幅高で始まりプラス圏を維持し安定。日経平均も10時台後半からは16900円台後半の時間帯もあった。2014年と2015年8月に上場を断念したLINEが三度目の正直で上場を目指しているというロイターの報道があり、ネット広告など「LINE関連銘柄」が買われ新興市場や中・小型株が動いていた。16950円をはさんだ小動きのまま、前引けは75円安の16939円。

 上海はプラスを維持して午前の取引を終了したが、ドル円が113円台後半でくすぶり後場の日経平均は安値を更新して再開。為替が上値を抑える。防衛線と思われた16900円も割り込み0時32分に16894円の安値をつけるが一時的で、1時台には前場並みの16950円付近まで回復する。2時に発表された1月の景気動向指数速報値は、一致指数は前月比+2.9ポイントの113.8、先行指数は-0.4ポイントの101.4。基調判断は「足踏みを示している」で据え置き。上海市場は小幅プラスで再開。全人代開会中は「よそゆきの顔」なのか、いつものガラッパチな上下動が影をひそめ4日同様にプラス圏で安定。しかし2時台の日経平均はジリジリ下落して再び下げ幅が100円を超える。黒田日銀総裁が講演し、マイナス金利で家計にもプラスの効果が出ると自信を示していた。終盤は16900円台をなんとか維持し大引けは16911円。日中値幅は132円で、今年最少を記録した。

 日経平均終値は103.46円安の16911.32円、TOPIX終値は-13.45の1361.90。売買高は22億株、売買代金は2兆1722億円で商いは少なかった。値上がり銘柄数は835、値下がり銘柄数は1000。プラスは海運、パルプ・紙、非鉄金属、卸売、鉄鋼、証券の6業種で、水産・農林はプラスマイナスゼロ。マイナスは26業種で、その下位は保険、その他製品、電気・ガス、陸運、鉱業、石油・石炭など。「よそゆき顔」の上海総合指数は終盤マイナスにタッチするご愛嬌も見せながら終値は0.80%高で5営業日続伸した。

 8日の日経平均は続落。週明けのNYダウは67ドル高。NASDAQはマイナス。S&P500は約2ヵ月ぶりに2000の大台を回復して終えた。ヨーロッパ市場は小幅反落。労働市場情勢指数は市場予測を下回って悪化したが、原油先物価格は5%を超える上昇で37ドル台は2ヵ月ぶりの高値。強弱入り交じって最後まで方向性が定まらなかったが、NYダウは結局5営業日続伸。朝方の為替レートはドル円が113円台前半、ユーロ円が124円台後半で円高が進行。為替は「黒田ライン」の115円になかなか戻れない。CME先物清算値は16885円だった。

 10~12月期の実質GDP改定値は年率換算でマイナス1.1%。マイナス成長だが速報値から0.3ポイント上方修正された。日経平均は21円安の16889円でCME清算値にさや寄せして始まる。9時12分にプラス圏浮上直前の16909円まで上がる場面もあったが、序盤は16800円台後半から9時30分前に急落が始まり「メジャーSQ週の火曜、水曜の鬼門」の鬼がいよいよ登場。9時台のうちに16700円割れ直前まで一気に下がり、鬼の金棒のスイングはメジャー級の鋭さ。16700円も割り込んで10時31分には16678円の安値をつけた。鬼門だから覚悟していたこと。

 上海市場は小幅マイナスで始まって下げ幅をどんどん拡大し、全人代は来週まで開かれているのにガマンできずガラッパチの本性をあらわす。その後も日経平均は安値を更新、更新、また更新。下げ始めると歯止めがきかない今年の病気がまた発病。日経平均VIがなかなか下がらない投資家心理の弱気のせいで「病は気から」。ドル円も円高が進行して112円台後半になり、11時11分の16570円でようやく下げ止まる。前日比341円安。前引けは276円安の16635円だった。

 大幅安の上海は下げ幅を若干縮めて午前の取引を終了。後場の日経平均も下げ幅を圧縮して再開する。0時台はおおむね16600円台後半でもみあったが、1時台は徐々にマイナス幅を圧縮し40円安、16871円の水準まで回復する。為替が円安方向に動いて113円台に戻す。2時に再開した上海市場はマイナス圏のまま。終盤は16800円近辺でもみあって大引けは128円安の16783円で続落したが、安値から212円引き戻して終えた。

 日経平均終値は128.17円安の16783.15円、TOPIX終値は-14.18の1347.72。売買高は25億株、売買代金は2兆5754億円。値上がり銘柄数は380、値下がり銘柄数は1470。プラスは不動産、繊維の2業種。マイナスは31業種で、その下位は非鉄金属、電気・ガス、銀行、輸送用機器、医薬品、水産・農林など。上海総合指数は終盤わざとらしくプラスに滑り込み0.13%高で6営業日続伸した。

 9日の日経平均は3日続落。ヨーロッパ市場は揃って続落。NYダウは109ドル安で6営業日ぶりに反落し17000ドルを割り込んだ。中国の貿易収支は輸入が13.8%減、輸出が25.4%減で2ヵ月連続2ケタ安と非常に悪く、中小企業楽観指数も低下。原油先物価格も3日ぶりに反落し36ドル台と悪材料ばかり揃う。朝方の為替レートはドル円が112円台後半、ユーロ円が124円近辺と円高進行。CME先物清算値は16675円だった。

 前日大引け後に発表された景気ウォッチャー調査は、現状判断指数は2.0ポイント低下の44.6で2ヵ月連続悪化。先行判断指数は1.3ポイント低下の48.2で2ヵ月ぶりに悪化した。基調判断は「このところ弱さがみられる」に下方修正。3月末発表の雇用指標も悪化すれば補正予算や消費増税先送りの期待が高まりそう。長期金利は前日、初めてマイナス0.1%まで低下し、日銀当座預金の最低金利と同じになった時間帯があった。

 日経平均は157円安の16625円で始まる。序盤に16600円を割り込み、いったん戻しても9時台後半には16500円付近まで下げる。上海市場が2%を超える大幅安で始まると10時35分に16500円を割り込み288円安、16494円の安値をつけるが、一時的。前場の残り時間は16500円の防衛線を割り込むことはなくおおむね16500円台で推移する。ドル円は112円台半ばのまま。前引けは267円安の16515円だった。

 上海は下げ幅を拡大し午前の取引を終了。後場は前引けよりやや高い224円安の16558円で再開。1時台前半までは16500円台後半の小動きで推移する。大幅安でも値動きは安定。1時台後半は16600円台に乗せ、2時台はさらに下落幅圧縮。上海市場は大幅安で再開したが上向きで、ドル円も少し円安に振れ112円台後半。日経平均は2時17分に16700円台にタッチして76円安、16706円のこの日の高値をつける。終盤も16600円台半ばで安定し、大引けは140円安の16642円。288円安の安値から147円引き戻して終えた。