LINE、MVNO事業参入で”成長の限界”突破できるか

2016年05月02日 08:36

画・LINE、MVNO事業参入て_”成長の限界”突破て_きるか

国内最大シェアを誇るメッセンジャーアプリ「LINE」。面倒な設定を必要とせず、アプリを落とせば勝手に起動するため、PCに精通していない人にも扱いやすく、CMのタイミングも手伝ってあっさりと国内トップシェアに躍り出た。

 国内最大シェアを誇るメッセンジャーアプリ「LINE」。MMD研究所の「2015年版:スマートフォン利用者実態調査(スマートフォンを持つ15歳以上60歳未満の男女2750人が対象)」によると、LINEの利用者は全世代で85%以上を超えている。LINEは面倒な設定を必要とせず、アプリを落とせば勝手に起動するため、PCに精通していない人にも扱いやすく、CMのタイミングも手伝ってあっさりと国内トップシェアに躍り出た。最近では3月24日に発表された「LINEモバイル」に注目が集まっている。

 順風満帆かのように見える同社だが、フリマアプリの「LINEモード」やフードデリバリー「LINE NOW」などサービスの撤退が相次いでおり、さらにゲームの課金を巡る財務局の立ち入り調査が行われたこともあって、成長の限界にぶち当たっているとの見方もできる。立ち入り調査に関して「定期的に行われる通常の検査」「資金決済法を意図的に免れたという事実はない」とコメントしているが、本件が発端で世間の風当たりが激しくなったのも事実だ。

 また、LINEモバイルの最大のセールスポイントである「LINE使い放題」については、「ネットワークの中立性」の問題が懸念されている。LINE月額500円(税別)からという低料金で、LINE使い方放題を全料金プランで適用する予定だが、特定のサービス通信料を無料にするというサービスはインターネットのオープン性に害を与えるとし、世界各国で問題となっているのだ。通信が無料対象か判断するためにデータを分析する必要が生まれ、通信の秘密やプライバシーの侵害にあたるのではないかという指摘がある。すでに、NTTコミュニケーションズ<9432>の「OCN モバイル ONE」や、ジュピターテレコム(J:COM)<2462>の「J:COM MOBILE」も同様にネットワークの中立性に関して指摘を受けている。

 多くのMVNO事業者は、格安料金を実現するために通信容量の上限を低く設けているため、LINE使い放題に魅力を感じているユーザーもいることだろう。FacebookやTwitterの閲覧・投稿も無料対象となるというのだから尚のことだ。しかし、その裏に潜む問題を知らないユーザーも多いはずである。

 MVNO事業参入が成長の限界を突破する起爆剤となればいいのだが、思惑通りにユーザーの心を掴み、信頼を取り戻せるだろうか。(編集担当:久保田雄城)